第6話

もうすぐ5歳となるので冒険者登録が凄く待ち遠しい。

最近は毎日が遠足前日の様な高揚感がある。

冒険者について少し語ろう。

と言ってもゲームをモデルとした世界で凄く解り易い。

ランクはノービス(初心者)Nを別枠としてEからが冒険者と見做される。

10歳で登録した場合はEからスタートとなる。

私は最低登録歳の5歳からなので見習いとなる為Nからスタートとなる。

冒険者のランクは下記となる。


S 最高ランク

A 町に1・2人居るかどうか

B 町に30人前後

C ベテラン

D クエストに護衛が増える

E クエストに討伐が増える

N 初心者(見習い) 


私の登録ランクNについて語ろう。

Nランクのクエストは大きく分けて3つらしい。

お使い、採取、雑用の3つである。

お使い、雑用は基本町の中から出る事は無い。

問題は採取、町から出て森の中などに分け入り薬草などを採取する。

見習いが死亡する確率が高いクエストとなる。

死亡理由として単純に冒険者見習いは碌な装備をしていない者が多く、その上経験も少ない為急な魔物との遭遇などでパニックを起こしたりして魔物に攻撃を受けて死亡するケースが多いのだ。

そういう理由から孤児院出身の冒険者の先輩からはお使いと雑用を最初にすることを薦められている。

しかし、実入りが良いのが採取である。

危険手当的なものも含まれるのかもしれないが、他の2つに比べ効率も良い。

装備を確り整えれば大丈夫だと思うので、採取をメインに置くこととした。

勿論、Eランクに上がる為にはお使い・雑用・採取をそれぞれ50回以上こなさなければ上がれないらしいので異世界転生モノでよくある登録してその日にランクアップなどはあり得ない。

少し残念である。




時は過ぎ6歳の誕生日を迎えた。

早速、冒険者登録に向かうこととした。

物語によくある登録時イベントを期待しつつ冒険者ギルドへと向う。





冒険者ギルドに行くとクエスト掲示板はいかにも物語に出てくるような依頼がランクごとに貼ってあり、冒険者の面々がそれを見て依頼を決めている風景がそこにある。

決めた依頼の用紙を掲示板より外し受付カウンターに持っていく、そして、契約して冒険へという納得のお約束の流れだ。

しかし、カウンターを見ると前世で見たような既視感を覚える。

正に市役所のカウンターである。

冒険者ギルドは国を跨ぐ巨大組織で古くからある。

昔はみんながイメージする様な荒くれ者が集うようなイメージピッタリのカウンターだったらしい。

しかし、今は綺麗な洗練されたカウンターへと生まれ変わり、併設するのは酒場ではなくオシャレなカフェである。

よく考えると解るかもしれないが、ここは何処か、そう!乙女ゲームの世界なのである。

こんなところにまで女の子ウケする様な仕様変更がなされているとは・・・

私的にはガッカリである。

気を取り直してカウンターへと行き冒険者登録をお願いしよう。


「冒険者登録お願いします!!」

「あら~可愛い子ね。5歳からのNからの登録で良いのかな?」


如何よ私の発音!!

気が付いた人はいるかな?幼児言葉の舌足らずだった発音も5歳と少しで改善した。

まぁ語ったのは私だがそれは置いておこう。

私のお相手をしているカウンターの住人は凄い美人のお姉さんだった。

金髪をポニーテにしてボンキュボーの我儘ボディーの受付の制服を着た美人のお姉様がそこにはいた。

私がマジマジと見ていると美人のお姉さまが話し掛けて来た。


「如何したのかな?」

「あ・・・あまりにもお姉さんが美人で惚けてました」

「まぁ!あなた良い子ね~お姉ちゃんが贔屓にしてあげるわ!!」

「よろしくお願いします」


登録手続きも終わり、必要事項の説明も終わり、お姉さんより冒険者カードを手渡された。


「はい、これNランクのカード、無くさない様に気を付けるようにね。

無くすと再発行に銀貨2枚必要だからね。」

「分かりました、気を付けます。」

「私はレベッカ、よろしくね~」


この美人のお姉さんはレベッカさん。

後日知りましたが、実は彼女がこの冒険者ギルドのギルドマスターでした。

考えて見ると美人なのにカウンターに誰も並ばないのが不思議だったんだよね~

他のカウンターは人並んでるのにここだけ並んでないってよく考えると可笑しいよね。

並ばないのは並ばないなりの理由があると言う事です。


「改めまして、ローズマリーと言います。

孤児で孤児院に今は居ます。

よろしくお願いしますレベッカお姉ちゃん」


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★


私はレベッカ、このギルドのギルマスをしている。

たまに受付もするが、私の所には誰も来ないので基本はカウンターからギルド内を眺めるだけだ。

朝一のギルド内は混雑しているがピークも終わり今は少しだけ冒険者の人数が減って来たところだ。

ボーと入口を眺めていると可愛らしい幼女がギルド内に入って来た。

依頼か冒険者登録の何方かだろう。

幼女はキョロキョロと周りを興味深そうに見まわしている。

カウンターの方を見ると少し残念そうにしているが、初期登録に来る子達にはよくあることである。

真っ直ぐと私のカウンターの方に来た。

初めてで私の事を知らないのであろう。


「冒険者登録お願いします!!」


元気のいい声で私に話し掛けて来た。


「あら~可愛い子ね。5歳からのNからの登録で良いのかな?」


返事が無い。

見ると私の方をボーと見ている。

私は声を掛けた。


「如何したのかな?」


次の瞬間ハッとしたような顔をして赤くなりながらモジモジして彼女は答えた。


「あ・・・あまりにもお姉さんが美人で惚けてました」


自分でも美人な方だと自覚しているが、ここまで面と向かって言ってくる相手はここ最近いない。

凄くこの子の事が気に入ってしまった。


「まぁ!あなた良い子ね~お姉ちゃんが贔屓にしてあげるわ!!」


周りの者がギョッとしているが気にしない。

彼女は嬉しそうに答えた。


「よろしくお願いします」


登録手続きも終わり、必要事項の説明も終わり、カードを手渡す。

私は彼女に私の名前を告げた。


「私はレベッカ、よろしくね~」


彼女はニッコリと可愛い笑顔で返事を返してきた。


「改めまして、ローズマリーと言います。

孤児で孤児院に今は居ます。

よろしくお願いしますレベッカお姉ちゃん」


この子があの孤児院で有名な子かとその時初めて知った。

それよりも、「レベッカお姉ちゃん」

彼女、ローズマリーの事は凄く気に入ってしまった。

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