第5話
月日は流れ、4歳となった。
アクセサリー作成は直ぐに孤児院の一大産業となった。
私はアクセサリー作成の第一人者として孤児院ではそれなりの立場となった。
簡単に言えば作成の指揮者となったのである。
最初は私一人で作っていたが、日産4個作っていた。
1個11Gの利益が出るので1日4個だと44Gとなるが、もっと稼ぎたいと思い数名の子に話を持ち掛けた。
作り方お教えその後も指導するのでアクセサリーを作ってみないかと言うと最初は興味を示さなかったが1日40G以上稼いでいると伝えると乗り気になった。
勿論、指導料とか色々差し引くのでもっと安くなることは伝えてある。
最初は3人が話に乗った。
1日1人が4個作成し、商店へ1個当たり13Gで売る。
孤児院の取り分2Gを引き私の取り分として1G貰うこととした。
残りは1個当たり10Gとなる。
4個なので一日40Gのお金を手に入れた孤児は喜び他の子たちに自慢する。
後は続々と私の指揮下に入っていった。
シスターテレサはおかずが1品増えただけでなく他にも色々手が回せる資金が出来たと大喜びし「ローズマリーよくやりました」と褒めてくれた。
ご褒美として、アクセサリー作成用に部屋を1つ融通してくれたので更に生産は安定した。
1年もすれば冒険者になる時に買う武器と防具の代金以上にお金が手に入ったのは嬉しい誤算である。
鍛錬も順調であった。
ランニングの距離は去年の倍ほどになり、素振りも木の棒から木の模造剣へとランクアップし剣速も上がった。
更に、最近は孤児院卒業者の冒険者がたまに来て色々教えてくれたり、自分でアクセサリーの材料を探しに森の浅い部分に行くことも出来るようになった。
河原で綺麗な石を拾い材料としているが、今までの物より高級感が出るとのことで商人もニコニコでこの石を使う物については買い取りを18Gとしてくれたことで更に収入は増えた。
最近、アンちゃんが不機嫌で私にあまり話し掛けて来なくなった。
何がそんなに不機嫌なのか知らないが藪蛇なのでそっとしておこう。
ある時アンちゃんが私に話し掛けて来た。
「工場長みたいなことちてるの似合わないよ」
「工場長か、今の私の立場をよく表ちているね!上手いこと言っちぇるねアンちゃん」
「ふん!何がそんにゃに嬉ちいの?笑っちゃって、ローズにはそんなの似合わないの!!」
まだまだ2人とも舌足らずの幼児言葉だが大分良くなってきた。
それはそれとして、本当に上手いこと言うな~と思って笑ったのだが・・・それが気に食わなかったのだろう。
それにしても何をそんなに怒っているのか、不機嫌なのかよく解らない。
アンちゃんは地団太を踏みその場を駆け足で去っていった。
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似合わない、似合わない、似合わない!!
憧れのゲーム主人公が家内制手工場の工場長と化している。
イメージが崩壊してしまいそれで不機嫌になってしまう。
イメージが違い過ぎることと神が主人公を選べないと言っていたことを考えると、この世界の主人公であるローズマリーは転生者ではないかとの疑惑が持ち上がる。
本人に聞いてみる?
いや、多分はぐらかされるだけだろう。
あの子はああ見えて知恵が回るし慎重だ。
それに思い付きを実現させる行動力もある。
どんどん私から離れていくようでそれも不機嫌になる要因だろう。
6歳であの子を伯爵が迎えに来る。
それまでに私はどうしたいのだろうか・・・
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