第3話

月日の経つのは光陰矢の如く言うよにとても速い。

私も3歳となっている。

祖父が迎えに来るのは後3年だが、貴族をやれるかというのは実情を知らない私にはまだ判断できないが、時間は有限である。

ただダラダラと過ごしていると直ぐにその時はやってくる。

だが、今は出来ることからコツコツとである。

3歳の孤児が今出来ることは・・・思いつかない・・・普通は遊ぶことかお手伝い程度だろうなぁ。

私はチートな潜在能力と前世の記憶を持ってもダメ人間でしたと打ちひしがれる私。


「ローズ、何ちてるの~?」


私を愛称で呼ぶのは、同じ年の孤児【マリーアンヌ】、通称:アンちゃん

3歳児なので舌足らずで可愛いが中々のおませさんである。

私の持ち物の中に名前が書かれた物があり、私の名前はローズマリーで確定した。

その後同じく孤児院に来た名無しちゃんのこの子は私の名前から一部取ってマリーアンヌと名付けられたらしい。

私と似たような髪色のなのでそのような名付けされたのだろうが、よく姉妹と間違われることもある。

そんなこんなで同い年の幼馴染の女の子として一緒に育った仲である。

それにもしかしたら私と同じ日本からの転生者かもしれないと疑っている。

理由としては、小声で聞こえる単語でたまにエアコンだとかスマホだとか言っている。

でも、君子危うきには近寄らずの精神でスルーしている。

何故なら前世で親の遺産を狙った親戚の目と同じような目をすることがあるので何か狙っている様で怖いというのもあるのだ。


「ボーとちてる」

「ふぅ~ん」


私もまだ3歳児舌足らずでした。

特に面白そうなこともなさそうと言う事でアンちゃんは何処かへ去っていった。

私はまた思考する。

6歳でお爺さんが迎えに来れば貴族になると言う事である。

そうなると、確実に学園に行くこととなり華帝のゲームをリアル体験することとなる。

メリットは貴族になるので生活は困らないだろうし、学園に通う事で得られるもの多い。

デメリットは貴族らしい振る舞いが求められる堅苦しい生活で、ゲームの様な死亡フラグがてんこ盛りの学園生活を生き抜く事になることだろうか。

下手な考え休むに似たりではあるが、今一つの考えが頭に浮かぶ。

心友曰く、「華帝の基本はアクションRPG部分での経験値稼ぎが全て」であると言っていた。

つまり、魔物をバンバン殺戮・・・もとい、倒していくことで得られる経験値と素材を売ったお金が重要と言う事だ。

幸いにして私には優れた潜在能力があり、魔法剣士となれるだけの魔法と剣士としての才能を併せ持つ存在である。

貴族どうこう、学園どうこうの前に武力とお金を得ることはこの世界での私の人生において重要なことであると確信が持てる。

方向性が決まった。

次に如何すれば魔物と戦えるかである。

職業で冒険者があることは心友から聞いている。

冒険者登録は5歳から出来るらしいが早すぎないか?と思うが、心友曰くそこがリアルらしい。

え、リアルか?と思った前世の私に心友は「魔物が跋扈する世界で5歳から見習いするって逆にリアルじゃない?現代日本でも3歳から習い事とかするんだよ。5歳から冒険者の見習いってありじゃないの」と言っていたが今の私としてはありがたい。

6歳までに1年間は冒険者の見習いとして色々と経験できるのは大きいことだと思う。

6歳までは如何すべきか考えることとした。

先ずは冒険者の見習いやれるだけの体力作りと初期の武器・防具を買えるだけの資金集めだろう。

体力作りは毎日早朝にランニングと素振りをすることとした。

問題は資金集めである。

シスターに頼んで商店に連れて行ってもらい市場調査すること思いついたので、後でシスターにお願いすることとした。


「シスちゃー【テレサ】相談あるけどいいでちゅか?」

「如何したのローズマリー?」

「商店にちゅれていってくだちゃい」

「何か欲しい物でもあるの?」

「にゃにが売ってるか見ちゃいです。色々売ちぇるんですよね?」

「売っている物が見たいの?」

「はい、駄目でちゅか?」

「今度行く時で良ければ、連れて行っても良いですよ」

「やっちゃー!!」


よし、第一関門突破だ。

「何が売っているか知り、異世界日本知識チートかますぜ!!」とかは少ししか思ってませんよ。

もしかりにそんな知識あっても孤児がそんな商品を開発し売りはじめれば、真似をされて終わりだろう。

勿論、何が売っているかを知ることは重要だが、物の値段、品質、等々の何処に居ても必要な知識がまた重要なのである。

それと、もしも良い商品のネタが思いついた時に協力してくれる商人との顔繫ぎ等の事も考えてである。

見ず知らずの孤児が行き成り商店に赴き、いいアイデアがあるから色々協力して欲しいとか言って来て協力してくれる者など居ないだろう。

そして、今考えてる最大目標が何か売れそうな物を手に入れた時の顔見知りの売り込み先としての顔繫ぎである。

少しでも売れる物を手に入れた時に現金化できる伝手は武器・防具の資金獲得のミッションで最も重要事だと考えている。

アイデア何て中々思いつかないだろうし、思いついたらその時考えればいいだけの話である。

私はスキップしながらシスターテレサの元を去っていった。

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