第2話

私は生まれ変わったのは間違いない。

それも乙女ゲーム華舞い散る帝国物語(通称:華帝)の世界をモチーフとした異世界に。

プレイすると言う事は主人公の2人のうちのどちらかだろう。

華帝は開始時に主人公2名のうちどちらかを選択でき、最初に名前を付けれた筈だ。

乙女ゲーなので両方女性で、片方は青みがかったプラチナブロンドで氷結魔法を得意とした魔法剣士、もう片方は煉獄魔法を得意とした魔法剣士でピンク色の髪。

今は赤ん坊らしくどちらか確認はできない。

ロキ神との別れ際に「名前はどうしますか?」と聞かれたので、ゲームでよく使用していた【ローズマリー】と名を付けてもらった。



ゲーム自体は15歳の学園入学からスタートなのだが、転生なので赤ん坊からのスタートであった。

ゲームをプレイしていないので色々と情報を得たり、この世界に馴染む為には正直助かったとも言えるが、赤ん坊は寝ることが仕事なので記憶持ちの私には時間が長く感じられた。

心友に聞いていた主人公のプロフィールから考察していこう。

青い銀髪の主人公は伯爵家の令嬢が駆け落ちして出来た子供で、駆け落ち先で両親が亡くなってしまい孤児院に引き取られ後々伯爵家の祖父に引き取られるって設定だった。

ピンク髪の主人公は子爵家の庶子として生まれるが、子供が生まれないままに本妻が死亡した為、父の子爵に引き取られ子爵令嬢となるだった。

両方とも赤ん坊時は貧しい為、部屋を見ても今の処は判らない。

そんなことを考えていると赤ん坊だけに眠くなって何時の間にか寝てしまった。


お腹が空き目覚めた。

食事を要求する為泣き叫ぶ「オギャー」だか「プギャー」だか分らんが叫び続ける事暫し、シスターらしき格好の女性が現れた。

ここで確定しました、青銀髪の主人公で間違いないだろう。

ミルクを入れた哺乳瓶を口に入れられ栄養補給をするとまた眠くなり寝てしまった。


赤ん坊は大変である。

意思疎通が泣くことしかできないので殆どの事が伝わらない。

前世の記憶持ちと言う事は自我があると言う事でこの自我ありというのが赤ん坊にはネックなのだ。

やることなくボーとしているだけの生活は望んでやる分にはいいが、強制されると苦痛に感じる。

意外と人間は我儘な生き物だな~と我のことながら実感してしまった。

考える時間だけはあるので今後の事を考えることとした。


それにしても、普通ラノベとかだと10歳位で前世の記憶を蘇らせるとかが鉄板で、生後数か月で孤児院いる状態からスタートなのか理解に苦しむが、そうなってしまったので諦めよう。

青銀髪の主人公の情報は心友から聞いた覚えていることを思い出すしかない。


0歳で孤児院に引き取られる。

今はこの地点にいる。

6歳で伯爵家に引き取られる。

貴族令嬢として生活がスタートするのがここなのだが、私が貴族を遣れるのか未知数過ぎる。

それにゲーム通りだとすると、学園に通い攻略対象と親交を深め共に戦い・・・

戦えるのか疑問だが、ゲームの主人公なのだから才能はピカ一だろうし、神に願った「健康な体、優れた能力、記憶は消さない、チート」の全てを叶えたと言えなくもない状況なので、覚悟を持てばやれるはずだ。

真面目に生存戦略を考えないと詰むことは間違いないだろう。


今現在は赤ん坊なのでやれることはほぼ無い。

未来の私に希望を託し今日は寝ることとした。


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★


ここは神々の集まりの場、主催者のロキはご機嫌で皆に話し始める。


「・・・そんな出会いがあったんですよ!!

新しい世界を創造し眺めるのも一興ではないですか?」


集められた酒盛り中の面々はヘーパイスト、イシュタル、スサノオ、他にも何柱かの神達。

ロキの提案に一早く乗っかって来たのは物作りの大好き神様のヘーパイストであった。


「面白そうだね。華舞い散る帝国物語てゲームね・・・

成る程、成る程、このゲーム性職人の心を感じるよ!!

喜んでロキの提案に協力しよう」


次に声を上げたのはスサノオ


「協力するのはまぁいい。

でもよう、俺たちはお前の選んだ人間を見てるだけか?」


スサノオの問いにロキは少し考えて、悪戯でも考え付いた子供の様なニヤリとした笑みで答えた。


「では、あなた達もこの新しい世界の住人を探して連れて来てみては如何ですか?」


スサノオへの回答なのに俄然興味を持った一柱の女神がいた。


「それは実に面白そうだわ。

私も是非協力させてもらうわ!!」


彼女の名をイシュタルと言う。

大神と呼べる力のある一柱の神である。

そして、疑問を投げかけた一柱の神がいた。


「条件は如何する?ゲームに関わる立場なのかただの住人なのか連れて来る者によってはゲームと違う未来に成るぞ?」


この神の名をプロメーテウス、集められたメンバーの中ではかなりの常識神である。

ロキはそんな事なんて全く考えていなかったようで、少し考える。

そうしているうちにまた意見を言う一柱が居た。


「そんなの本人に聞いてみればいいじゃないか。

俺は勝手に決められることは大嫌いなんだ!!」


その一柱の名は斉天大聖と言う。

彼の提案は他の神々にも大いに受け入れられた。

新しい世界を創造する話が何時の間にかどんな人物をどんな立場で連れて来るかと言う話に何時の間にかなっており、新世界の創造は当たり前と言う前提で話は進められていった。

そうここは神の中でもトリックスターと呼ばれる神々が集った酒宴であった。

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