湊音

第三十三話 初期設定

シバとジュリが引っ越したら。

また僕と李仁だけの2人の世界に浸れる。

最初はそうだったのにね。


シバが来てめちゃめちゃに、そこにジュリも来て僕ら4人ぐちゃぐちゃな関係になった。

でも2人はここからしばらくいなくなる。

僕たちは初期設定にリセットされるのだ。

それはそれで寂しい気もするけどね。



※※※


シバとこうして離れ離れになるのは何度目だろう。


前はフラフラしてつかみどころのない人だったのに。


ってやっぱり掴みどころのない人だった。


剣道指導は月に一回は来てくれることになった……。


でもその後にシバの部屋でセックスすることはもうない。


バカだな、李仁という人がいるのに。


バチが当たったんだ。

ジュリにも手を出してしまったし。


もういい、これでおしまいにしよう。

シバは不器用だから自分からもうやめにしようって言えないからこういう終わり方でいいんだ。


「ミナくん?」

李仁……。


「もう会えないってわけじゃないんだから」

……。


「てことで……」

「ん?」


李仁が僕の顎をくいっとあげた。

「また私たち2人で楽しみましょうね」

「李仁?!」


……て、李仁……僕とシバとのことで楽しんでいたってこと?!

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