第二十六話 混雑

たまに彼はボーッとしている。

前ならベランダでボーッとしながらタバコを吹かしていたであろう。

マンションが全面禁煙、それに伴い私たちも禁煙した。

何を考えているのだろう。

この横顔見るだけで私のことではないってそれがわかるようになった。

彼の気持ちは混雑している。黙ってみるしかない、今は。


※※※


「ミナくん、ベランダ閉めちゃうわよ」

「あっ、あっ……」

慌ててミナくんは中に入る。


「寒いのに」

「寒い方が雑念が取れるというか、なんというか」

「雑念ねぇ」

手を擦り合わすミナくんの手を私は両手で挟む。そしてそれをほっぺに当てる。


「温かいでしょ」

「うん」

そうだ、温かい甘酒豆乳を出してあげよう。でもしばらくはこの手を握っていたいな。


「李仁ぉ」

「なぁに」

「……」

とキスをしてくれた。私の手のひらに。

私もし返す。


そして唇同士で。


と、あっという間に休日はこうやって終わるのよね。


やりたいこと大混雑してるけど、途中でラブラブし出すと全てを投げ捨てて愛し合っちゃう……私たちは本当にバカップルだ。いつまで経っても。

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