第二十一話 手
シバからもらった早めのクリスマスプレゼントは高級なハンドクリームだった。やっぱりジュリに選んでもらったと。
僕も先日そのクリームでマッサージされたんだ。
そのハンドクリームで今度は李仁にマッサージされる。
手を触られるたびに、クリームを塗るたびに李仁以外の男を思い出すなんて。最低だな。
※※※
クリスマスといえば。23日には夕方から李仁とクリスマスデートからの夜は特別なクリスマス仕様のアイテムを使ってセックスをした。
朝起きたら互いに選んだクリスマスプレゼントを枕元に置いておき、それらを開封して互いに感謝し合った。
かれこれもう10年以上になるからマンネリにならないよう日々工夫してきた僕ら。
その後にはシバとジュリも呼んで晩御飯食べたり、おせち作ったり……。
日々は流れるように進んでいく。
シバとの関係は相変わらずあるが年末年始はシバが珍しく忙しいためセックスはできなかった。
別にそれでいい、本来はそうあるべきなんだといまさらながら思うようになった。
どうかしていた。ジュリがいるのにシバとセックスして、そのシーツやタオルを洗濯してもらって。そもそもシバ達の家に送り出す李仁も李仁だ。
彼がどうして快くシバと僕をセックスさせる環境においたのだろうか……。
はぁ、僕は棚に上げて……自分のしたことを。最低だ。
クリームも無くなっていった。自分で塗ることもあったけど李仁に塗ってもらってマッサージしてもらったこともあった。
マッサージはジュリの方がうまかった。
ジュリともあれからセックスしてないし2人きりにもならなかった。
でも喧嘩もすることもなく普通に喋って食べて。
……。
気づいたら年を越していた。
カウントダウン。2人でカウントダウンしてキスをする。
来年は登山して初日の出観に行こうよ、だなんてもう年末のこと考えてるのかよとか言いながらやっぱりセックスして。
……これが普通なのか。
わからない。
「ねぇ、李仁」
僕は聞いて見た。
「なぁに、ミナくん」
互いの手を何度も握っては握り返す。
「……僕がシバとしてること、どう思うかい」
李仁は僕の方をじっと見ている。そしてまた握り返して来た。
「どう思うって……ミナくんはシバとしてどういう気持ちになる?」
って聞き返して来た。……。いつも見送ってくれて、時には彼のマンションの下まで送ってくれて帰りも迎えに来てくれて。
……どんな気持ちでそんなことして来たんだろう。
「どうってさ……その、シバと会うのもいいけどさ……その、その……」
李仁がキスをして来た。
「その時、私のことも思い浮かぶ?」
「……えっ、思い浮かぶというか……その……」
「シバとセックスしてる時も私のこと、思い出すんだ。それはびっくり」
……いや、絶対にではないがたまにふと李仁のことを思い出す。シバと一緒にいるのに、なぜか李仁のことをなぜか思い出して……。そして隣の部屋にいるジュリ……。
僕は背徳感、罪悪感を感じながら……後ろめたさもあるが最後は快楽の方を優先して果てる。
「そうなの、背徳を感じてのセックス、気持ちいい?」
「や、やめろっ!」
李仁が耳を舐める。
「気持ちいいんでしょ……ふふふ」
「ああああっ!!!」
「その快楽知ったらもう後戻りできないよ、ふふ」
「うああああああっ」
李仁は楽しんでいるんだ……ああ……。
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