湊音

第二十話 夜デート

夜にデート。夜にお散歩。

なんだろう、何事にも「夜」と付くだけでウキウキしてしまう自分がいる。

李仁とイルミネーションを見に来たけどドキドキが3倍、4倍、いやそれ以上だ。この後は家に帰ってご飯を食べる。そのあとは……?


もしこれがシバとだったら……背徳感のある夜デートになるのだろうか。



※※※


いろんなところでイルミネーションがあるから李仁とは色々行ってる。

最近は昼よりも夜のデートが増えた気もする。


夜の方が密着度も増すからすごく嬉しい。手を繋ぐのは日中でもしてるけど夜のデートの方がもっと良い。幸せ。


シバとは夜に会えないのが辛い。


ああ、なんで李仁といてこんなに幸せなのにシバのことを考えてしまうのだろう。


今は何しているんだろう、ジュリとラブラブしてるのだろうか、二人はこうして夜デートしているのだろうか。


たまには剣道場とかシバの部屋とかそれ以外で一緒にいたい。セックスするのも幸せだけど……。


「ミナくん、あそこの奥のところ綺麗じゃん。写真撮るよ」

「うん」

李仁に声をかけられて現実に戻る。今は李仁といる幸せに浸らなきゃ。


そういえばシバと写真を撮ったことあったっけ。シバはスマホで僕の写真を撮ろうとしない。

彼のスマホの待受はジュリの寝顔だった。

僕の寝顔なんて……まずうたた寝することはないから撮ることなんてないだろう。

もし今度寝たら僕の寝顔を撮影してくれるのだろうか。待ち受けにしてくれるのだろうか。


……てか待ち受けにするんだ。なんか笑える。シバってそんな性格に見えなかった。


でもジュリの寝顔を待ち受けにするだなんてさ。やっぱり彼にとって一番は僕じゃなくて、ジュリなんだな。


李仁は僕と2人で撮影した写真を待ち受けにしてくれている。今日のも……待ち受けにするのかな。


「夜景を撮影してもなかなか綺麗に撮れないのよ。結局2人の顔しか映らない」

「そうだよね」

と言いつつ2人自撮りで夜景をバックに撮影する。見返す時確かに自分たちの方に光が当たって夜景が綺麗に映らないや。


「それ、待ち受けにするの?」

って聞いてみた。

「うーん、これよりもいい写真を待ち受けにしてるから」

と李仁は見せてくれた。


それは僕の寝顔だった。

なんで李仁も僕の寝顔を……? これ、いつのだろう。しかも僕の寝てる横で李仁が横になって写ってる。


「ふふっ、あなた隙があるのよ」

「もー、変えて。さっきの夜景のツーショットに変えてよ!」

「いーやっ。これがいいの」

「誰かに見られたら恥ずかしいよ!」


そうだよ。てかシバは自分の待受、他の人に見られたら……。


……僕が見るってわかってたかな。


「ミナくん、どうしたの? そんなに嫌だった? ……わかった、変えるから」

僕は首を横に振った。李仁が抱きしめてくれた。


「李仁……」

僕は涙がこぼれた。李仁はよしよし、と人が他にもいるのに抱きしめてくれた。


その日の夜、優しく李仁は僕を抱いてくれた。

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