第十九話 倦怠期
私たちに倦怠期、という言葉は当てはまる時期があるのだろうか。
ケンカは私が一方的に怒るか相当シバがご機嫌悪い時くらいかしら。
セックスもぼちぼちしているし2人でいる時はまったり過ごしているし。
そんな時期が来たら、ってそんなのを考える暇はない。
その時が来たらその時、今を楽しまないとね。
※※※
って楽しみすぎかしら。
シバの愛人である湊音とも関係を持ってしまった。
シバの時は受けであろう湊音は雄であった。あんなにシバとしたくせに。
「湊音は李仁との倦怠期ってあった?」
だなんていう質問をしてみた。そんなことを聞く場面かしら。
「え? ないよ」
「ほんと?」
「本当も何も。そりゃ喧嘩してさ。……知ってるでしょ、李仁怒ったら部屋閉じこもって。時間置いてごめんね、って言いに行って仲直りだから……」
確かに……李仁は仕事で理不尽なことがあって怒ってもその場で怒鳴らない人で。どっか行って探しに行ったらタバコ吸ってた。
声掛けるのが怖いオーラ漂ってたけど。
「ジュリはあるの? シバと倦怠期」
「……うちも似たような感じかな。シバはあまり怒らないし」
「じゃあまだまだ倦怠期なさそうだね」
「そうね」
……湊音はシバと愛人関係を持ってるからこそ倦怠期がないんじゃないの?
「……たまに相手してくれる?」
はぁ?
何考えているの、湊音。
「冗談だよ。流石にここでこんな関係になったらやばいよね」
「そうよ……何考えているの」
とか言いつつもわたしはこないだ李仁と関係持っちゃったけど。それは気づいているかしら。
シバは気づいていそうだけど湊音は気づいてないみたい。
「てかさ、ジュリ」
「なによ」
「李仁とは、したことあるの?」
……一瞬言葉詰まりそうになった。
「いや、昔からの知ってるだろ? 若い時だからしたことあったのかなーって」
カマかけてるとかじゃないわよね。でも昔、若いからってしなかったし。
そもそも互いにネコだったから……一緒になれるとは思わなかった。
でも私は李仁に抱かれたかった。
だけど李仁が湊音と一緒になったのを聞いてああ、良いタチ見たかったんだって思ったらそうじゃないって知って。
だったら可能性あるじゃん、って思ってたら時を経て結ばれるって……嬉しかった。それにした後に私の身体すっごく良いって褒めてくれた。私もタチの李仁がたまらなく良かった。ようやく一緒になれて涙が出た。
でもやっぱダメ。もう互いにパートナーいるんだから。
だからそうなる前に若いうちに……しなかったの? あの頃の私は魅力がなかったの?
ああなれたんだから過去の私も李仁に抱かれたのに。
「してはいないけど、したいって思っていたらどうする?」
って意地悪な返答をした。湊音はその答えが意外だったのか少しびっくりしてる。
「……良いんじゃない?」
湊音、どっかネジ外れてる。
それにさ、李仁みたいに最中はずっと見つめてくれるし気を遣ってくれるし終わった後も可愛いね、って言ってくれて。
それに対して湊音は自分の欲に任せるばかりで。シバでさえも終わった後は優しくキスしてくれるのよ。
最っ低っ!!!
はぁ。
こんな男に入れ込んでるシバと李仁、どこが良いのよ……こいつのこと!
私、この男にシバと愛人関係にさせているのね。なんか嫌。
……でも李仁に頼まれてるし。
ネコになると性格変わるのかしら。李仁もタチになった時、すっごく雄だった。そういうかんじかしら。でもやっぱり嫌。
夕方になってシバがヘトヘトになって帰ってきた。私と湊音がセックスをしたソファーの上に倒れ込んでる。
大丈夫なはず。湊音帰ってから消臭スプレーかけたし、うん。
「づがれだー。ジュリ、マッサージしてくれよ」
しょうがないなぁ、全くどいつもこいつも。私は上に乗っかった。
「なぁジュリ」
「なぁに?」
「俺らにさ、倦怠期ってないよな」
ん?! なんでこんなことを。まさか湊音、シバにメールでもしたの?
「今のところね……ってなにそんなこと聞いてくるのよ」
「なんとなくさ。もっと強くそこ、押してくれ」
私は黙って押した。
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