第十三話 四角関係
絶対ここで繋がってしまったら歯止めが効かなくなってしまう。
と思っていたのに理性は効かなかった。
こうしてシバ、ジュリ、李仁、湊音はめでたく四人は繋がってしまったわけで。
でもまだそれは身体だけの関係だが表面上はわからないようにした方が身のためだ。
自分の上に寄り添うジュリの頭を撫でた。
※※※
シャワーを浴びにジュリたちのマンション駐車場から私のマンションに行きシャワーを浴びた。
一応ミナくんには忘れ物をして引き返したとメールした。
『いいよーこっちはまだ仕事終わらん』
って返ってきた。
「お先失礼ー」
とジュリがバスルームから出てきた。香水をつけて口紅を塗り直していた。
あえて我が家のシャンプーとか使わなかったみたいね。
別にうちのバスルームじゃなくてもよかったのに……と思いつつ。
私も流す程度にした。
「カーセックスなんて二十年ぶりよ」
とジュリ。
「私もしばらくしてないわね」
「あら……そうだった?」
ゲイダンサーのころのジュリは本当にモテモテでクラブとかに行くと何人かの男の相手をしていることがあった。
私もだけど……まさに若気の至り。
最初は手で、と言ってたのに……ジュリが上に乗っていた。ネコなジュリ、セクシーだった。
シバはああやって攻められているのかと思うと……。
二人でリビングに戻るとインターフォンが鳴った。お届け物? そんな通知なかった気がするけど。
ガチャガチャっと鍵を開ける音がしてドアが開いた。
「あれ、李仁?」
そこには湊音がいた。なんで? って彼もなんで? って顔していた。
「……どうしたの、ミナくん」
「いや、李仁こそ。お店に忘れ物取りに行ったんじゃ?」
「ええ。そしたら部屋にあった」
と私は机の上に置いてあったイヤフォンを手にした。
それよりもなんでミナくんはここに?
「もうシバが疲れたって言うからあとは僕一人で作業する。あーだこーだうるさくて集中できん」
とミナくんはどっさりと持っていた手提げをリビングの机の上に置いた。
ミナくんとシバは仲良いところもあるけど真面目で冷静ななミナくんと不真面目で熱血なシバは時たま口論することがある。
仕事の面ではあまり相性は良くないようだ。
「シバは?」
ジュリは狼狽えることもなくナチュラルに振る舞う。私は手汗でじっとりしてしまってる。
「シバ、駐車場にジュリの車あったからって先に帰ったよ。多分家帰ったら寝てるかも」
「はぁ、ほんとごめんね。湊音が結局仕事抱えちゃうじゃん」
「いえいえ、いつものこと。なんなら僕だけでやればよかったー」
少し機嫌が悪い。私がジュリとここにいたことはどう思だたんだろうか。それよりもシバと喧嘩したことのほうが嫌なんだろう。
「じゃあ私はここで帰るわ。湊音、クロワッサンあるから食べて感想をメールでちょうだい」
「ういっす。ありがとう」
ジュリは私を見て微笑んで帰って行った。そして二人きりになる。
ミナくんを見るとまだ機嫌が悪い。
「……コーヒー持ってこようか?」
「うん。お願い」
リビングで仕事をするつもりなんだろう。この様子だとシバとはさっきの時間ではセックスしてなかったのかしら。
私はじっとり湿った手をジーンズで拭ってコーヒーを二杯分。
クロワッサンを皿に乗せてミナくんのところに。
「ありがとう。ちょっと仕事するね」
「わかったわ。ご飯も私が作る」
「悪いね……夜遅くまでかかるかも」
「無理しないでね」
「うん」
カリカリしてるミナくんにはなるべく離れた方がいい。それはわかってるけど焦る自分はつい声をかけてしまう。別に後ろめたいわけじゃない。
ああ、私にも秘密ができてしまったわ。
私は寝室に入ってすぐベッドに寝転んだ。そして仰向けになる。
メールが来た。ジュリからだ。車に乗ったかしら。
『今日のことは忘れて』
忘れられるもんじゃないわ。あなたが私の上で欲情していた……あの姿。
まぁ、私もどうかしていたわ。
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