第十二話 悩み事
愛人公認、巷で流行った言い方をすればセカンドパートナーだとか。
私は認めたものの、いつしか立場が逆になってしまってミナくんが私の元から離れてしまったら、もしシバの方がいいって言い出したら……私の性癖のために許したのだから罰当たりということかしら。
引き止める権利はないのかもしれない。
※※※
ジュリの車に乗り込み、私は電話をする。今シバとミナくんはジュリたちの家にいるから帰るということを一言連絡しておかないとね、ある程度猶予あげないと。
同じ剣道部指導員としての指導要綱やスポーツ協会へのレポートや契約書やらを二人で書くとか言いつつも同じ部屋で二人きりだし、2時間も一緒にいたらある程度の事はしているだろう。
ジュリは特に気にしていないようだけども。彼は余裕なのか。
「多分さっきのカフェは集客ターゲットをしっかり定めていないからもって一年かしら」
「あそこのテナントは入れ替わり激しいからね」
「味はいいんだけどね。従業員もイケメン、かわいい子を採用しているようだし」
「ジュリもそこチェックしていた? 私も思った」
「レジの男の子、絶対あれは不器用だけど客寄せパンダ的な感じ。私は奥の製造の子はかなりイケメンで有能そうに思えた」
「あら、奥まで見てたの?」
「ふふふ。でも李仁がレジの子気になるのは分かる、すっごいわかる」
本当ジュリと話をしていると面白い。若いころは働いていたゲイバーに来るメンズの品定めもよくやっていたもので。
互いに男もとっかえひっかえで若気の至りだった。ジュリなんて特に可愛くって人気だったから。こんな話をしたらシバは……まぁやきもちは妬くことないか。
マンションに着いてエレベーターに乗る。
私はちょうど半年前にミナくんとシバの関係のことをジュリに話したっけ。したらば
「別にいいわよ」
とすんなり返事されて拍子抜けしたけど本当にいいのか分からない。
「仲がいいことはいいじゃない。それに少しは李仁も気を抜きたいんじゃないの? ずっと一緒だったらしんどいし。シバも湊音も満足してそれぞれのたがいのところに戻れば問題なしよ」
だなんて。
互いの元に戻れば……確かにね。
それ以降は深くこのことをジュリとは話さなかった。様子とかどうしているとかも話したりもしないし、私も聞かない。もちろん私はそうすることによって性欲が増すだなんて言わずミナくんの精神安定のため、しか。
それでいいのか、わからない。
だって二人の行為している部屋の隣、や台所にいるのよね。
たまにご飯もご馳走になるとか言ってるし行為した後はシャワーもしてるだろうし、ましてやセックスする場所はシバとジュリの寝室だ。シーツとか……タオルとか……。
「行きましょう、李仁」
「ええ」
そんなこと聞いたって……。ふとジュリから香る柔軟剤か芳香剤の香り、ミナくんがシバの家に行ってから帰ってきた時に纏わりついているものだ。
それを香ると私はゾクゾクするの。そしてその香りを纏ったミナくんを抱くのが最高なの。
「李仁、どうしたの?」
「……なんでもないわ」
すると私の太ももあたりにジュリが手を置いた。……そして私を見る。
「李仁……手でしてあげようか?」
「バカ」
間髪入れずにそう言ってしまった。ああ、してもらいたい気持ちは山々だけど……。
「そうよね、本当バカよね」
笑うジュリ。そんな彼に私はキスをした。驚いた顔していたけどだんだん舌を交えて激しく唇を吸いあって助手席を倒された。
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