第七話 よくばり

 僕には長年連れそっているパートナーの李仁がいる。

 そしてシバという愛人がいる。

 どちらかを選べと言われてもそれぞれの良さがあって……。

 かなり倫理に反しているのだが李仁は認めてくれている。

 欲張りじゃないだろうか僕は。

 たくさん尽くしてくれているのにどんな心境か、申し訳ないが読み取れない。


 ※※※






 シャワーを浴び終わると僕はシバの部屋に戻った。彼はベッドの上で横たわってた。賢者タイムをダラダラ過ごす人だ。

 僕を観て体を起こしたけどあまりシャキッとしてない。いつもこんな感じだけど。

「頭痛い、こりゃ……雨降るぞ」

「あーわかる。僕も体だるい」

「だるいとか言う割には騎乗位楽しんでたじゃん」

 そう言うシバの両頬を右手の親指と人差し指で挟んだら彼の唇がタコみたいになるからそこに口付けをする。

「セックスとだるさは関係ない。シバもシャワー浴びてきなよ」

「へいへいー」

 と彼が全裸で部屋を出る。きっと着替えはジュリが持っていくんだろう。浴室まで持って行って鉢合わせたら、二人はどんな会話をするんだろう、抱き合ったりするのだろうか。


 シバだったらするだろうな。前も聞いたけど僕が帰った後にジュリとどんなことするのって。

 したらばお前は李仁のところ帰ってすぐセックスするのか? って反対に聞かれたけど、それはないかな。

 帰ったら李仁は僕を迎えてくれて一緒にソファーに寛いで映画を見たり話をしたり。


 その後出かけたり、散歩したり。夜ご飯食べてお風呂入って、セックスするかしないかはそのとき次第。

 昼にシバとセックスして夜に李仁ともセックスする時もある。しない時もある。その時次第さ。


 そういうとシバは俺もだ、と笑って答えた。そうだよな、本当僕はこう……なんというか人の心を読んだり計算高く人の心理を読み取ろうとしない会話ばかりだ。

 言った後に気づいて後悔ばかりだ。


 僕はベッドに横たわる。シーツは僕が畳む。その上に敷いたタオルも。かなりグチャグチャになるけど……このベッドはシバとジュリのベッドだ。


 ああ、この上でジュリを抱いてると思うと……このタオルやシーツも使っているのだろうか。


 するとメールの着信音。

 李仁からだ。

「夜ご飯、今日何がいい?」

 李仁は今昼の営業を終えている頃だろう。土曜は昼に子供食堂を開いて夕方前に閉める。


 きっと駐車場から送ったメールだろう。その足でスーパーに行くはず。

「んー、カツ丼かな」

 と送ってみた。昼は僕もシバも剣道の指導後に子供食堂で子供たちに紛れてご飯を食べた。魚とさつまいも、あとは鶏むねのさっぱりヘルシーなものだったからガッツリ肉が食べたい。


 すると李仁から返事が。

『キャベツ多め、カツ丼にするわ。赤味噌の味噌汁、シジミもどうかしら』

 ああ、美味しそうだ。

『うん、じゃあ味噌汁ぼく作る』

 と返していたとき、ジュリが部屋にやってきた。

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