第四話 スキンシップ
「あーそこそこ」
なんだかんだで夜。
うつ伏せになったシバの上に乗っかってマッサージ。
毎晩彼にこうやってできるのは私だけの特権だ。
「最高だ……」
このベッドの上で愛人と愛を交わしていたという事実は変わりがない。
でも上書きされた我が家の柔軟剤の香りで何事もなかったかのように。
眠りにつく。
※※
いつものように夜になる。
横にシバがいる。
ルールはあって、日中以外は湊音とは会わない。
たまに私もご飯したり、クリスマスやら誕生日のイベントしたりするから例外もあるが(シバと湊音は同じ剣道教室でコーチやってるから泊まり合宿もあるのよね……)泊まって午前様は問答無用。
セックスするなら外ではしない。あくまでも私は名が知れ渡っているデザイナーでもあるから。
シバとパートナーシップ協定結んだ時も雑誌の取材受けたものだし(シバは匿名)。
だからこそよそでセックスして他人に見られてでもしたら、てこと。
シバも今まで刑事以降の仕事は女性トラブルや女性トラブルやら女性トラブルで仕事揉めていたこともあるし、ようやく今の警察学校や学校の指導員に軌道に乗ってるんだからこれ以上何かあったらどうすんのよ。
私と一緒じゃなかったら、私が心を許して愛人いる状態でも一緒にいてあげるのもなかなかないんだからね。
……。
ふと背中向けて横向きに寝ているシバの背中に体をくっつける。
よく寝てるわ。
一緒に住むようになってから彼の睡眠が深くなった。
全く寝られなくて夜更かしばかりしている男だった。
当初私はロングスリーパーだったから先に寝てたけど。
湊音という愛人と電話やメールをしている事実を知ってからは一緒に夜を過ごすことになって。
あと寝る前のマッサージを続けたら少しずつ寝る時間が増えた。
……。
「あっ!!!」
いきなりシバが体を起こした。私は彼を抱きしめる。
「シバ……大丈夫よ」
シバは息が荒く私に抱きついてきた。汗もすごい。
まだこんな夜がある。
「ジュリ、ジュリ……」
「大丈夫、私がいるわ」
抱きしめる力が強くなる。
彼は子供の頃、両親が亡くなり児童養護施設に引き取られ酷い目にあったそうだ。
それから優しい医師夫婦に育てられたものの子供の頃の記憶はこの強靭そうな身体に刻み込まれている。
彼は私を押し倒す。制御効かない。
……まだ夜は長くなりそうだ。
私がいるから、大丈夫よ、シバ。
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