第二話 背徳

 さっきまであんなに激しく交わってたくせに、機嫌をとるかのように私のことを愛して罪滅ぼし、な訳?


 あの人は私公認の愛人。


 そう思って割り切らないと私の心は壊れていく。


 じゃあなんで一緒にいるのかと言われても彼は昔からダラシないのわかってるし見知らぬ女抱いてくるよりかはマシかと思っている。

 ※※


「ほい、水」

「サンキュー」

 シャワーを浴びてきたシバがウォーターサーバーから水を持ってきてくれた。


 そういえばもうタンクも無くなるからアプリで注文しなきゃとスマホをとろうとすると横にあるシバのスマホの画面に湊音からのメール着信。


「夕方にスーパー行くか」

「そうね、買い出し行かなきゃ」

 とシバと会話を続けながらも複雑な気持ちでシバのスマホの画面を見る。ロック画面は私の写真。しかもいつの間に撮ったのかわからない寝顔の写真。

 なんでこの写真にしたの? ってシバに聞いたら

「猫みたいな寝顔だったから」

 だったらしい。確かに私は吊り目で犬よりも猫顔だ。

 にしてもこんなガサツな男がロック画面に私の写真を使うだなんて。

 過去は女たらしと言われてた彼がパートナーの写真をロック画面にするって。過去の女たちもやきもきするじゃないの?


 私は男だけど知らない人から見たら普通に女の寝姿だし。


 湊音もこのロック画面を見たのだろうか。見てどう思ったのだろうか。


 するとシバはスマホをヒョイと取り上げてメールをチェックする。

 湊音に返信をしているのだろう。


 そしてメールをしてきたというのは彼が家に着いたのだろう。


 湊音の愛する人が待つ家に。


 そう、湊音にもパートナーがいるのだ。




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