第4話 (ざまぁ回)戦士たちざまぁ
「Sコンコルド」のメンバーはダンジョンを進み、しばらくした後に異変に気が付いた。ダンジョンの一室に入ったので、通り抜けようとドアを開けて進むとどこかで見たような部屋に出る。はじめのうちは何部屋かを経由してから何か見覚えがあるなと気にしつつ、突き進んだが、明らかにそのループが短くなってきてる。
賢者クラークがリーダーに言う。
「なんかさっきから同じところを回ってません?」
「まさかそんなはずは?通ってきた部屋の入口と出口はずっと一方向で逆向きのベクトルは無かったぞ。」
クラークは気付いたが、二人は戻ることなく進んでいれば行き止まる事はあっても同じ場所の繰り返しということは起こり得ないとさらに先に進もうとする。
「ちょっと試してみましょう。」
クラークは出口の扉にスプレーで大きく「BΦYS BE AMBITIOUS」と書き、次の部屋に進んだ。
ーーー
「…………」
三人は息を呑んだ。真っ直ぐ進んだ初見の筈の部屋の出口に先程スプレーで書いた
「BΦYS BE AMBITIOUS」が確認できたのだ。
流石に三人ともこれが尋常なことではないことに気が付いた。
どうしてこうなったんだろう?
賢者は諦めたように「メビウスの輪かな、表と裏が繋がっていて一次元の線を書いていても裏と表を巡って同じところに帰ってくる…そういう構造」
戦士ヴィルヘルムはイライラして、怒鳴りつける。「理由なんかどうでもいいから、ここから脱出するにはどうしたらいいんだ?
ほら、アレをすれば出られる部屋とかさ。」
賢者はそれが不可能であることを伝えるべく口を開く
「いつでも脱落出来ます。しかしここから逃れることも来たところに帰ることも出来ません。死、あるいは存在の消滅だけがここからの救済です。」
聖女ゼノア
「そんなのイヤよ。せっかくせしめたカネで美味しいもの食べて、最新の服を買いに行くんだから!」
こいつ、まだそんなこと言ってるの?とクラークは呆れながらもこう告げる
「こういう世界の存在は予測されていた。しかしそれを確認して生還した者は一人もいないからないものとして扱われてきた。ただそれだけだ。ゼノア、もしお前の聖女の能力が本物であるなら神に語りかけて状況を聞くくらいは出来るだろ?」
ふざけないで、聖女の力は本物よ!と憤りながら、神との対話儀式を行う。
ゼノアは急に間抜け顔になり、ウロウロ同じ場所を動き回っては脈絡もなく独り言をぼやいたと思ったらうわぁーと大声で叫んではまたウロウロして独り言をボソボソと口走る。
完全に混雑電車で見る電波系のおじさんの挙動だが、これが神との対話の儀式らしい。なるほど、儀式のときに教会が人払いする訳だ……。
ーーー
儀式が終わり、その神のお告げを持ち帰ったゼノアは絶望の表情を浮かべる
「どうだった?」
「もうダメ。存在の消滅よ」
神はいやいやそうに面会してくれたらしいが、真っ先に告げられたのが、関わると自分まで大神に目をつけられるからとっとと消えてほしいという事で、救済は出来ないししない旨、そして今ゼノアたちが居るのは人類の本史から切り離されたパラレルワールドで、その世界は絶賛縮小中で近いうちに完全消滅するという話、そしてここの外では、三人の存在は、失われたのではなくてはじめから無かったことになって元の世界が動いているということだった。
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