本編

第1話 パーティ追放

「アラン・マクドナルドさん、お疲れ様でした。今日から同行しないでいいですよ。」

突然の解雇通知だ。しかもここは無人島の地下ダンジョン深層部。一人で来れないのは当然ながらここで放り出されたら確実に魔物の餌食になる。アランはびっくりして聞き返す。「え?聞いてないんですけど、理由は?」

Sランクパーティ『Sコンコルド』(はじめの文字はランクにあわせて変えるらしい)のリーダー、戦士のヴィルヘルムはめんどくさそうに答える「ずっと同行願うならはじめから仲間として雇うよ。お前みたいなのがうちらSランクにはついてこれないだろうがな。

派遣ってのはいつでも解雇できるのが売りだろ?ここから先はお前はお荷物になるだけだから、身軽になりたくてだな。」


「あらん、そうですか…仕方ないですね。それでは…。」とリュックを背負い台車を引いて帰ろうとした途端、後ろから脚を斬りつけられ転んだ。ものすごい出血だ。どくどくと流れる血になすすべもない。すぐに止血しないと失血死するが、突然の出来事と激痛にそれどころではない。


「おい、荷物は置いていけ!どうせ帰りつけないだろう。それならここで死ね」

戦士一行はリュック、台車だけでなく、衣類のポケットからもアランの私物含めて回収してそのままダンジョンの奥へと消えてしまった。


痛さは飽和してもはや感じない。それよりも血を失った関係だろうか、ともかく寒い。暗い。このまま死ぬのだろうか?いや、疑問形の意味ないな。死ぬわこりゃ。


ーーー

「うまく行きましたね。」

「ヤツがそれなりに持ってるのは有名ですからね」

「まあ生き伸びることはないから、この追い剥ぎは永遠に闇の中だ。ハッハッハ」

戦士ヴィルヘルム、賢者クラーク、聖女ゼノアは身軽になりつつ、しかも財布も盗んでほくほく顔だ。


 残念ながら、このときまでのアランにはなんの見どころもない、本当に指示待ちの作業員で、戦いという意味での実力差はマジもんで、別に支援してたわけでもないのでSランクパーティは紛れもなくSランクパーティで、アランを追放したからと言って弱くなる事はない。くやしいのうくやしいのう。


……

ただ、実力が

落ちずに戦いの強さが不変であっても、この時点で問題がないはずのこの沙汰も消えないひとつの歴史の真実として記録され、その事実がそのまま呪いへと変わり単純ながら決して逃れることのできない運命の執拗な嫌がらせがこのSランクパーティを襲うことになる。

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