天才魔術師エマは、冒険者パーティの一員としてラストダンジョンの最下層に挑戦し、敗れた。最後の魔力で仲間を脱出させ、息絶えた彼女が目覚めるとゼノビア王国の第七王女として転生していた。第二の人生こそ穏やかに暮らすと誓うが、天才である彼女が目立たないはずがなかった……。
エマが転生したティア本人は、ゆっくり本でも読んで暮らしたいと思っているのに王女としての立場と、魔術師としての才能が厄介事を引き寄せていきます。さらに生来の反骨精神から、名門のエリート学園に入学しても教師や生徒を相手に騒動を巻き起こすトラブルメイカーなキャラが痛快です。
ただティア本人が特別問題児というわけではなく、この登場人物は他国の王女や聖女まで、かなり血の気が多くて決闘好きなのもあるんですよね。
騒がしかった学園生活も一段落したかに思えば、隣国でクーデター事件が起こる。その首謀者は前世の仲間テオドールだった。真相を探るためにティアは戦争の渦中に飛び込んでいく……。幼くても天才で勝ち気なヒロインのパワフルさに圧倒される一作です。
(「お姫様も楽じゃない」4選/文=愛咲優詩)