第40話:伯爵様からの褒美

ボルヴィキーニ伯爵領を救ったお礼に領主のオーエス伯爵から、白い袋のようなものを渡された。


「これは何ですか?」


「亜神ススム様が造りし特級魔道具(スペシャルクラス・マジックアイテム)の1つ、四次元袋(インフィニティ・バンドル)だ。容量無制限!袋の口より大きなものでも、不思議な力でスッポリ入る優れモノだ!」


「まるで、某ネコ型ロボットのお腹についているあれみたいだな。」


「ネコ・・・なんだって?」


「ああ、いえ、なんでもないです!しかし、こんなすごいものを俺に・・・良いんですか?!」


「いいとも、領地を救ってくれたお礼だよ。」


「ありがたく頂戴いたします。」


「女王様は、そうですな・・・たしか塩を買いに来たのですよね。」


「ええ、そうですわ。」


「ならば、塩を特別に1年間只にしてやろう!」


「え?そんなことをして大丈夫なのですか?!」


「気にすることはない。もともと、君たちがいなければ滅びる運命(さだめ)だったのだから。」


「あ・・・ありがとうございます。」


イザベラは柄にも無くしどろもどろだった。なんか小さくなっている彼女が可愛く見えた。


「な、なんですの。」


「なんでも、ありません。あ、そうだ。モーナさんにも何かお礼の品を・・・・。」


「よかろう!」


「そ、そんな・・・いいですよ。ハロルド様さえ無事ならば私はそれで・・・。」


「いや、心配をかけたお詫びの品として受け取ってほしい。すみません伯爵様、女性ものの服で一番いいのを頼みます。」


「よし、わかった!とっておきのを持ってきてやろう。モーナ君、いい領主を持てて良かったな。」


「ハイ!」


しばらくして、オーエスは黒を基調としたフリル付きの派手なドレスと、これまた黒を基調とした赤のラインが入ったカチューシャを持ってきた。


ドレスのデザインは、一言で言うならばゴスロリ服だ。


「・・・随分とすごいものを持ってきましたね。」


「これは、もともと娘の誕生日プレゼントにと買ってきてやったのだが、お気に召さなくてなかなか着てくれないまま、押し入れにしまってあったものだ。」


「お父様の趣味全開のドレスなんて来たくありません。」


「あ、い、いたのか。我が娘よ・・・。」


「なかなかいい趣味をお持ちで・・・。」


「しゅ、趣味などでは決してないぞ!気に入ると思っただけだ。」


「フフッ、娘思いの優しいお父様じゃありませんか。大切にしてくださいね。」


「わ、わかっていますわ!」


「オーエス様、このドレスありがたく頂戴いたします。」


「そ、そうか。いつか舞踏会が開かれたら、その服を着ていくと良いぞ!」


「お父様ー?」


「違うぞ?断じて違う!そのドレスは超高級品だ。そのドレスを着てハロルド君と一緒に来れば、彼の株が上がること間違いなしだ!うむ!」


もうすでに上がり切ってるから意味ないと思うんですけどね。


「あはは・・・よし!お前ら、そろそろ帰ろう!!マホウスキー領へ!」

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