第28話:おにゃんこ大戦争②

ニャンニャンは、ミネーラを助けた御付きらしき騎士イロハに対して爪を振り下ろした。


ガキイン!


だが、今度は間一髪で俺のスキル発動が早かったようだ。


ヴニャアアア!!!


ニャンニャンは、先ほどから獲物をしとめられない怒りからか、イロハに対してめちゃくちゃに殴りつけた。


だが、当然俺のスキルで一切ダメージが入らず逆にニャンニャンの手が傷つき始めた。


「これは・・・一体?」


「イロハ、私がもう一度この子をテイムして見せます。大丈夫、ハロルド様が守ってくださいますから。」


テイマーだったのか。


「ですが・・・悪徳貴族の、しかも無魔人を容易に信用できませぬ。」


「私を信じてください!」


「・・・わかりました。おい、無魔人!お嬢様に何かあったら承知せぬぞ!」


「わ、わかりました。」


「ふん。」


イロハは瞬間移動して後ろに下がった。


「あれは縮地っすね。しかも、無詠唱であんな遠くに・・・あの女、ただ物じゃねえっす。」


「ああ・・・。」


ヘイトを再びミネーラに向けたニャンニャンはなおも攻撃を続けた。


それでも、ミネーラは臆せずにニャンニャンを見つめ続けた。すると、徐々にミネーラの目が紫色に光りだした。


やがて、ニャンニャンは攻撃をやめておとなしくなった。


ミネーラはニャンニャンの鼻を触った。すると、猫特有の甘え声であるゴロゴロが聞こえた。


「どうやら、成功したようだですね。」


「ハイ!ありがとうございます。ハロルド様!」


「ごろにゃーん。」


「よかったですね!お嬢様。」


「しかし、なぜニャンニャンはああなってしまったのですか?」


「わかりません。」


「もしや・・・少々お待ちを。」


そう言ってメーテルはストップウォッチのようなものを取りだした。


「メーテルさんそれは?」


「これは、亜神ススム様が御造りになられた。魔素測定器でございます。」


「それで、魔素の量がわかるのですね。」


「はい。一般的には1~100までがこの土地の一般的な魔素量なのですが、今は御覧の通り10000を優に超えております。これは、魔素が瘴気に変わる一歩手前の数値でございます。」


確かに、表示されている値は普段の100倍の値になっており、しかもその値が少しずつだが上昇している。


「それに、ニャンニャンは魔描という魔物の一種で、魔素の影響をほかの猫より受けやすいのです。」


「それで、瘴気に近い魔素を取り込んだ結果ああなってしまったのですね。」


「ハイ、これは・・・一刻も原因を調査する必要があります。」


「何の騒ぎだ!」


威圧感のある声に驚いて振り向くと、ふくよかな体にカイザー髭を蓄えたおじ様が仁王立ちでこちらをにらんでいた。


「あ、お父様!!」


「そ、その化け物は一体!!」


「お父様、化け物ではありません。この子はニャンニャンですよ。」


「なに?!この子が、一体なぜ・・・まあ、良い。それよりも、なぜ敵対貴族のマホウスキー家の者が法国随一の盗賊団スノーラビットと一緒にここにいるのか・・・詳しく聞かせてもらおうか?」


「は・・・・ハイ。」

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