第13話:塩の確保
「別の商人ですか・・・ですがどうやって?」
「まず、通行税を10万Gから5000Gまで下げることを法国全土にアピールする。これで様々な商人が来てくれるはずだ。」
「なるほど・・・ですが商人が来るまでに備蓄食料がなくなる恐れがあります。」
「まあ、そこは法王猊下に頼んでしばらくは給料の代わりに食料をもらうしかないな。だが、保存食料を作るのに欠かせない万能調味料の塩はそう簡単に手に入らないだろうな。」
マーゴニア法国は、日本と同様に四季がありマホウスキー男爵領は基本的に寒いが、夏場は20度前後になるくらい気温が上がり、ほかの貴族領と同様に塩の安定供給が重要になってくる。
今は冬だが、夏が来るまでに塩を確保しておかないといけないのだ。
「塩は海が近いボルヴィキーニ伯爵領が所有していると聞きました。」
「ボルヴィキーニ伯爵領はどこにある?」
フレーは本棚から地図を取り出して広げた。
「夏以外は雪と氷に閉ざされるハルゲンダッツェ山脈の近くにあるここが、今我々が納めているマホウスキー男爵領です。」
「ふむ。」
「そして、法国直轄地を挟んで反対側にある海辺のここが、ボルヴィキーニ伯爵領です。」
「なるほど・・・では早速取引しに行くか。」
「お待ちくださいハロルド様!現在、マホウスキー男爵領とボルヴィキーニ伯爵領との仲は最悪です。」
「そうなの?」
「ハイ。もし、独立国同士だったら戦争に発展するほどに。しかも、塩を取引材料にできているのはボルヴィキーニ伯爵領だけです。」
「うーん・・・よし!塩がないなら作ればいい!!」
「そのようなことができるのですか?塩の精製方法は、法国の中でもボルヴィキーニ伯爵とその家族しか知らないんですよ。敵にそうやすやすと教えてくれるとは思えません。」
「大丈夫、通行許可証みたいなものさえもらえれば良いから。」
「はあ・・・・。」
フレーは、首を傾げた。
「すまないが、しばらくここを開ける。」
だが、フレーは首を縦に振らずに俺に詰め寄った。
「なりません!昔のハロルド様ならいざ知らず。今は、立派な領主様!好き勝手絶頂に動き回られては困ります。あなたを失ったら我々、いやこの地に住まうみんなはどうなるのです?」
「いや、しかし・・・。」
「大丈夫、私が絶対にお守りします。」
「ソーニャも連れていくのです!」
いつの間にか眼帯をつけた銀髪隻眼の青い目をした少女メイドとソーニャが立っていた。
「うおっ!」
「モーナ、ソーニャ、あなたたちいつの間に?」
「ただいま参上致しました。」
「致しました!」
モーナはどこで覚えてきたのか、見覚えのある敬礼をした。ソーニャは前足で器用に敬礼をした。なんか・・・すごく可愛い。スマホがあれば絶対に撮っておきたい瞬間だった。
「モーナ、気配も感じなかったがお前どうやってここに入ってきた。」
「ハイ、実は私もハロルド様と同じ魔法が使えないユニークスキル持ちなのです。」
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