第一章 「元おっさんと魔獣とチュートリアル」 第三話

 神様(様もいいよと言われて「と言うか○○きゅんの泣きそうな顔で「駄目?」って言われて押し負けて」あれこれの結果以降「神きゅん」で決定)からの説明を受けながらステータスの確認をする行雄。大体の数値設定はよく聞くよく見た事のある物なのですぐに理解でき。「BP」に関しても説明で理解できて一段落してウインドウを閉じる行雄の隣で……

「……」

 ちょこんって言葉が浮かびそうな様子で座るハウンド?が居た。襲う様子も敵意も殺意も何もない。「魔物っぽい犬」と言われても通りそうな雰囲気を出して座るハウンド?

「…離れへんの?」

 言葉が通じているのか解らないが行雄が声を掛けると反応して顔をこっちに向けた。言葉は伝わらなくても気持ちは伝わってるようだ。

「傷も治ったみたいやし帰る所もあるんやろ?それやったら?」

「?(首をかしげる)」

「ん~?」

「何を言ってる?」と言うかの様に首をかしげるハウンド?にどうしていいか解らずの行雄。どうしたものかと思う脳裏にさっきの場面が浮かんだので疑問をぶつける事にした。

「あんたってさ、追われてたん?それとも追いかけてたん?」

「?(首をかしげる)……(顔を別に向ける)」

 やっぱり気持ちと言葉もある程度は伝わっているらしい。少し考えた素振りをすると顔を別の方に向けた。その先はハウンド?と出会う前にすれ違った白馬の向かった先だった。

「どこに向かったかとか解ったりする?」

 地図も無いコンパスも無い中で現在地もわかない中で少しでもと思った中で行雄はそう思って問いかける…しかし。

「グルルルルル……」

 突然ハウンド?が敵意を向けて唸り声を上げる。距離を置いて構えて無いが伝わる物はまさにそれだった。

「ちょちょちょちょちょ!待て待て待て待て待て!別に襲うとか考えて無いから!」

 いきなりの事とさっきの事。加えて血は止まったが傷はまだ治っていない中で襲われたら今度こそ死ぬと思ってあわてて否定する行雄。それを察してか唸り声を抑えるハウンド?

「……ここがどこで、どっちに行ったら何があるかとか解らんでな。それで少しでも手がかりをって思って」

 落ち着いてからそこまで言ってその意図を察してなのかハウンド?から敵意が消えた。

「それに俺の力?もはっきりとよう解らんのや。それを試す言うとあれやけどもしそれがって思ってな…」

 神きゅんからの説明はその都度聞くことは出来るがさっきとここ来る前の感覚…「吸い込まれる感覚」と「流し込まれる感覚」の体得もまだ出来てない中で全てが未知でしかない中で右往左往しかない行雄の現状に変化はなかった。

「………」

 それを察してなのかハウンド?は顔を白馬の走った先とは反対方向に向けて…睨むような顔をした後顔を戻して白馬の走った方へ向けた。

「…追いかけられていた白馬を守ろうとしてたって事?」

「わう!」

 そこから察して行雄がそう言うとそれが正解だと言わんばかりにハウンド?は吠える。

「…で、その中で突然俺が現れたから追いかける奴の仲間かもしれんから襲い掛かったと?」

「(頭を下げる)」

「……そっか~」

 だったらしゃあないかと行雄は納得するしかなかった。「いやそれで納得するのかよ?」というツッコミが来そうではあるがそれで間違いではなさそうだと思うからこそ納得するしかなかったという方が正解なのだろう。

「なあ。もし俺が追いかける奴らと違うと思ってくれるなら白馬がどこに行ったか教えてくれたりする?」

「?(顔を向ける)」

「そうじゃ無いならどっちに行けば町や村があるか教えてくれんか?ここにいつまでも居る言うんも…」

 現状解決する。いや行動できる選択肢はその二つでしかない以上は問いかけるしかなかったが……意外にも少し考えてなのか黙ったハウンド?が立ち上がると進んだのは白馬の走った方だった。

「…教えてくれるん?」

「わう!」

「…ありがとう」

 それを確認して立ち上がる行雄。体は思った程重く感じる事も無かった。見た目的な出血はかなりのもののようにに見えたが思った程では無かったようだ。それでも気遣ってくれてるのかこっちのスピードに合わせるように先導するハウンド?……その先には。

「っ!?」

 地面に座り込むさっきすれ違った白馬が居た………

(…何か息苦しそうやないか?)


 人と馬では違う所もあるだろうがそれでもそう思える程荒い息遣いだった。

「……」

 近付いて触ろうとするが一瞬いきなりで良いのかと思って顔をハウンド?に向ける。許可のつもりなのか頭を下げたので近づいて体に触れた。

 輝く程の白い毛並みに金色のたてがみ。近づくのも躊躇いそうになるそれに手を触れる行雄、しかしそれだけでは解らないからどうしていいか解らないでいると…

(思いだして!)

「え?」

(ボクがユキオに手を触れた時の感覚を)

 神きゅんからの声が聞こえて行雄はそれを思い出しながら両手を相手にあてて目を閉じた。

(…ん?)

 頭の中なのか閉じた目の前になのか赤い流れが見える。それが血管と血流なのか解らないがそうだと納得させるものを感じて行雄はその先を追いかけるように意識を集中する。

(川が…氾濫している?と言うかこれは…出血してるって事か?)

 程なくそんなイメージが目に入りそうだと判断する。

(血が止まらないという事は血小板が…でも普通…)

 そう思った時にステータスウインドウが出て来た。それが自分の物ではなく相手の物だと判断する中で自分と同じ「BP」の所を追加で開くと…

(血小板が…減ってる?少ない?)

 厳密な成分は解らず4種類だけなのだがその中でも血小板だけが著しく減っていた。このままでは自然止血は難しいだろう。

(まさか…)

 そこに至り今までの事と神きゅんからの力を思いだして行雄はそれを形にするように力を使った。

(でもこれじゃあ献血言うよりも輸血?血液交換?まあこの際ええやろ)

 そう思いながら行雄は自分のステータスウインドウを隣に出して双方のBPを確認しながら自分の血液を触れた手から相手に流し込む様にイメージしながらもう片方の手からはその分増える事で逆に困る分を自分に取り込む為に吸い込むイメージをした。

(……こういう事か)

 イメージはそのまま形となって表れた。これが思えば行雄がこの世界で初めて力を行使した瞬間だった。


 ……だが、状況はそれだけでは終わらない事にきづくのはその少し後だった。


 続

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