第8話 盗賊の告白

◆◆◆ 第8話 盗賊の告白 ◆◆◆



「無い…………何処にもないって言うか、知られていない?」


 俺は次の日、朝から町へと出かけてマジックバックなる物を探し回った。


しかし店で聞くと、


「まじっくばっく?何それ」

「まにあっくバック?変なのなら置いてるよ」

「マジックハンドならあるんだがな」


何故マジックハンドがあるんだ!

この時代の人がマジックハンドで何をするんだ?!


腹癒せに店に飛び込みオークカツ皿定食をカッ食らった!



無い物はしょうがない。

俺はギルドで台車を借りる事にした。


そしてその日からオーク宅急便と呼ばれる事になった。

一日最低2匹を目標に俺は稼ぎまくった!

朝も早くから台車を借りて怒涛の様に狩りまくる!


大型だけを狙い、肉が200kgを超える様な物を狩る。

小さい物は顎を殴り飛ばし気絶させてリリースだ!

大きくなって戻って来いよ。



しかしこの作戦はギルドからクレームが付いた。


「マキシ君が使うと車輪が直ぐにボロボロになるのよ。もっと丁寧に扱って」


なんだとー!

だがしかし、俺がそんな事で怯む訳が無かった。


「レンタルはオークなどの大型種を運搬するのに使う事と取説に書かれてある。何処にも早く走るのはダメだとか書かれていない。したがってギルド側が損害賠償の被害届を出したとしても、こちらには正当な理由で使い、速度違反などの記載は一切無いとの事で勝訴するのは目に見えている。悔しかったらもっと大型で丈夫なリヤカーを作るのだな、ふははははは」


俺は早口で言ってやった。



次の日、更に大型のリヤカー(オーク便)と書かれた台車が新造されることになった。



俺の勝ちだ。



この日、10/29を記念して町はオーク肉のカーニバル&フェスティバルを開催する事となった。

期しくもお肉の日と名付けられた。



町は先着100名様にオークの串を振るまい、オークカツ、オークしゃぶしゃぶ、オークのたたき、オークの腸詰めウインナー、オークハムなどが定価よりも安く売りに出されていた。


特に俺が気に入ったのは、オークのタルタルステーキだった。

鮮度バツグンのオークを包丁で叩きコカトリスの卵を上に乗せる。

若干血の味がしないでもないが、三皿はペロリと食べられた。

だが、意外に人気は無く、この期間だけだと言っていた。


持ってきているのは俺なんだが。


こう言う異世界では料理が出来る奴が正義だと思われ、人気も高騰しているが、俺は一さ五料理が出来ない!


ママンの生暖かい飯で育った為、包丁を握る事すらした事が無かった。


だが、今やオーク狩りの達人と化した俺は遂にギルドDランクに昇格し、秘密のレベルも遂に30へと達していた!


むはははは!マジックバックがあったなら金貨50枚で買おう!

100枚でも買えるぞ!



だが、俺は漢だ。


何時までもオークに縛られてなどいない。

その理由は、少し前に食べたミノタウロスのステーキが忘れられないからだ!



オーク肉のカーニバル&フェスティバルが終わると俺は牛さん狙いで更に奥へと入って行くのである。






うひゃひゃひゃひゃひゃ!


100g400円だと!

倍だぜ倍!


更に大きな巨体で300kgから400kgまで体重がある!

首を峯打ちの様に打って折ると簡単に殺せる事が分かった!


面倒なので最近は蹴りで殺すのが流行りになっていた。

これなら剣の刃こぼれも無いし、メンテも要らない!


ミノタンに、ミノホル、ミノカルビ、ミノシャトーブリアン。

〆にはミノタルタルで最後だ!


俺のミノタウロスの最高潮の時、それは11/29の日を記念して良い肉の日と定め、ミノタウロスのカーニバル&フェスティバルに制定した!



だがしかし!これは一過性のモノであり、来年は無い事を俺だけが知っている。



次はドラゴンか?ラノベではドラゴンは最高に美味しいと聞くぞ……………





残念、ドラゴンはずっと南に行かないといないそうだ。


歩いて行くには遠いと聞く。


車があったならな~

一応免許は持っているんだけど。

やっぱりエンジンか!後ゴムもいる!


何処かに油田はあるらしいから、精製技術があれば何とかなるか?

始めは蒸気機関でも我慢してやろう。

石炭はあるんだ。その内誰かが蒸気機関、そして原動機、ジェット、そして飛行機と夢が広がリング!




まあ、その頃は俺も生きていないかもな。



まあ良い。



「で、そこに何時まで隠れてるの?おじさん達」



「ばれちゃしょうがねえな」


ゾロゾロと外輪部で積み荷のミノタウロスを縛っていると、マーカーが次々に灯り声を掛けると武器を持った男達が出てきた。



「初めてじゃないよね、おっさん」


「ガキのクセに物覚えが良いらしいな」

「ついでに手前の財布も寄こしやがれ!」


「あの奴隷送りになった盗賊の仲間だね。ひょっとしてお礼参り?」


「頭が良いじゃねえか。分かってんなら面を貸しな」

「金だ!金を寄こせ!」



「何処にでもいるんだなお前らみたいなクズって」


「なんだとガキが!」


「ねえ知ってる?俺が一人でミノタウロスを狩ってるの。おっさん達って一人でミノタって狩れる?」


俺が町で有名なの知ってるの?

肉を運ぶって言っても俺は狩って持って来てるんだけど。

運搬屋とは違うんだよ。



「ああ、確かに俺達じゃ敵わねえだろうな。だがな、これだけの数を相手に出来るのか?」


回りを見ると盗賊は20名は超えていた。



「出来ると言えば?」


「出来る訳ねえ!俺たちはこの作戦でBランクまでやって来たんだ!お前みたいなガキがAランクとでも言うのか?」


「さあな、だが今の俺はレベル30。いつまでも弱くはないぜ」


「れべる?ぶはははは!お前夢でも見てるのか?なんだそれ」


「知らないなら良い。だがな、良い事を教えようか。お前らの事はギルドで調べたんだ。すると乗ってたよ、その不細工で汚い顔が。そこにはこう書いてあったんだ。デッドオアアライブ……生死不問とね」


「てめえ!」


盗賊の輪が一気に狭まって来る!


俺は地面に魔法を掛けた!


一瞬の内に土が盛り上がり、その先端が槍のように鋭く尖る!


「うぎゃあ!」


止まり切れなかった男達が腹を貫かれて串刺しになる!


1/3が行動不能になり、逃げだそうとする奴が出て来た!


「逃がすかよ!」


一気に周りに4m程の壁が出来、円形のコロシアムが出来た。


俺はゆっくりと串刺しになった男に近づいた。


既に剣は地面に落ちており、苦しみの中でもがいていた。


スパッ!


俺は手刀を一閃すると盗賊の頭が転がって行った。


「ひいいい!」


今や討伐に剣など殆ど使わなかった。

蹴りで骨を折り、手刀で延髄を壊す。

それに比べれば人間の骨など切れて当然。


そしてもう一つ分かった事があった。

魔法は使えば使う程に火力などを消費する物だと思っていたが、使うと同時に大地から力が直ぐに供給されている事に。



「良い物を見せてやろう。この世界には無い弾丸を」


「止めろ!止めろおおお!」


俺は人差し指を一人の男に指さした。


「名付けて大地の弾丸アースブレット



指先に現れた土の細長い塊がキュイーンと回転したと思えば一気に消えた!


ドン!


壁に張り付いていた男の胸に小さな穴を開け、背側から大量の血肉を噴き出しゆっくりと倒れて行った。


そして土の槍で串刺しになっていた男らもアースブレットで止めを刺していく。


無言になったコロシアムの中で、俺は死んだ奴の首を持ち、花を摘むようにもぎって行く!


何か楽しくなってきた。


その頭を次々に?いでいき、地面に並べてやる。



「次ぎは誰だ?」


「ひいいいいい!」


大の大人が悲鳴を上げて壁へと逃げ出した。

だが、高さ4mの壁は簡単には登れない。上がっては滑り落ち、また這い上がっては滑り落ちを繰り返していた。



「もう一つ良いモノを見せてやろう」


俺は指先から水を出した。

直径約30,程のコロシアムの壁や男達に水が掛かって行く。


この水もレベル20から使えていた。

出始めてからは水筒を持たなくても良くなり、俺は好きな時に水を指先からチューチュー吸っていたのだ。

その水を勢いよく掛けて行った。


「これはな、単なる水だ。だがな、水の温度が下がるとどうなる?」



もう直ぐ12月。

気温は寒いのだが、更に気温が一気に下がっていく!


パキパキと音を立てて水が凍り出していた。


そして大地よりも低い気温が流れ込み、大地から水蒸気が上へと上がり、その水蒸気がやがて霧へと変化していく。


「知っているか?身体の中にある水分は6割ほどあるらしいぜ。それを凍らせたらどうなる?」


一人の男に注視するとピキピキと音を立てて足元から凍り出した!


「やめッ!止めろ!止め……悪かっ……たすけ……てく……れ…………」




俺は男に近づくとみんなに言ってやった。


「もちろん、こうすると簡単にもげるがな」


メキッメキメキッ!


頭を倒し、そのまま首を折って?いだ。



それを見た盗賊はガタガタ震えながら助けを求めていた。



濃霧の中で音も無く歩く俺に頭を下げ、命を乞う。



「お前達の中で得物を好意で逃した奴はいるのか?助けてと言われて助けた事はあるのか?」


盗賊らはただ震えるだけだった。


だが、一人死を覚悟した男がいた。



「お前も終わりだよ、俺達が帰ってこないのなら別の奴らが動き出す。俺達は盗賊だけどな、依頼で動いているんだよ。俺達を殺しても無駄だぜ作戦は動き出している」


「誰だ?指示を出した奴は」


「教える訳がべひゃああ!」


俺は生きたまま頭をもいだ。


一人一人尋問し、次々に頭をもいでいく。

その話を聞きたいと言うのがあった。

だが、さっきから俺の中の何かが殺せと叫んでいた。


通常なら残虐過ぎる行為が全く気にならず、まるでアリを踏みつぶす様な感じにしか思えなかった。


最後の一人にも聞いたが、薄ら笑いをするだけで何も答えず、俺はそのまま頭をもいだ。



結局何も分からず終いだ。


だが、この漲る力を感じ、何が来ても退けられる自信ががあった。



血に濡れた自分の手を見る。

この残虐性が俺の呪いなのかと。



ピピッ


・マキシ

・15歳

・レベル40

・◆◆◆◆(呪い、進化中)

・興奮状態



マーカーが俺の状態を示していた。


レベルが上がっている。

少し前までレベル30だったのだが、盗賊20名を殺しただけで一気に10も上がった?


しかも盗賊は人殺しと表示されていたのに、俺にはその表示がない。


この鑑定も何処かがおかしい。


俺は魔法を解除すると、コロシアムのような円形の壁が砂ぼこりのように無くなって行く。


恐れを知らないデカいネズミが周りにいた。



「人間は食ってもいいぞ」


それだけ言うと、俺の言葉が分かっているかのように集団で殺した盗賊を食べだした。


荷台にあるミノタウロスを食べない所を見ると、こいつらは俺の言葉が分かるんだろう。

魔物では無いが、そう言うのもいると言う事だと、余り気にもならなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る