第4話 イナンナの故地へ

 類人猿たちが、農耕を得て文化カルチャーを形成し人間へと進化した。その類人猿から人間に進化する変化とまったくもって同様に、高度共産主義社会を実現し人間が人間以上の存在に進化するのは歴史の必然であり、必ず成立する明るい未来である。

 類人猿が農耕により人間に進化した場所に、すなわちこの世界の古代文明発祥の地に国外拠点を設けるのは革命的な読者会にとって憧れといって過言ではない。それは光(共産主義革命)と闇(帝国資本主義)の最終決戦が行われ、帝国資本主義を打倒し晴れて人類が新しい時代へと進む記念すべき地は可能ならば、類人猿が人間へと進化したこの地であることが望ましいからだ。

 ハイジャック機の行き先は、古代に人間に農耕を教えたという神話が伝わるイナンナの故地ウルクである。

 また、弱者を食い物にして働かない特権階級のみがあたかも当然で正しいことのように

肥え太る方法論を生み出し、現代の悪魔的資本主義の直接のルーツとなった古代王国の発祥の地とも隣接している。


ーーー

「イアンといったな。私はかつてルクセンバーグ公爵家の長女であったロザという。

現在は勘当されて国外追放になっている。もはや公国とはなんの関係もないからロザと呼んでくれ」

リーダーの女性は当初の見た目通り、やはりやんごとなき御身分……公爵令嬢、それも追放令嬢ですか。そりゃ、ハイジャックとか起こしてたら国外追放もされるわな。


「これから、ウルクへと向かう。すぐ西側が帝国資本主義の吐き溜まりであり、光と闇の最終決戦をするのにこれ以上ふさわしい地もないだろう。現地で同志と合流する予定だから機上ではゆるりとされよ。」


ーーーーーー

えっと異世界ですよ。異世界。いやだなあ。よく似た実在の団体、地名とはなんの関係もありません。

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