第2話 宗主国VIPさまの人命は地球より重い

「しかしご安心ください。殺害予定リストの先頭に、この国の宗主国のVIPを載せて出しています。必ず要求は通ります。」


美しい令嬢はそう説明すると、従えた冒険者にまたアンケートを配布させた。


「次のアンケートは、今までのアンケートとは違います。要求を通した後、降りたい方は降りられます。降りたいか降りたくないかのアンケートです。」


解放されるらしい。しかしここで希望すれば彼らと合流出来るので参加するかの意思確認ということだ。いや、そもそも要求通るなんて決まってないぞ。


アンケートの回答に選択の余地など無いではないか。以前ならそう思えた。しかし用件のためにまっすぐな犯行グループの方針にも一定のシンパシーが湧いたのは否定できない。

用事もなく残業させ、金も出ないのに手伝わされたり、そういう昭和の悪癖を凝縮したようなギルドの人間関係に厭気がさしていたオレは、半分ネタで、「降りずに同行する」にマルを付けた。


この国は「テロに屈するな、ひとつ要求を飲めば後が続くから徹底的に叩きのめせ」と普段から言ってたので、人質に宗主国VIPが居ようが居まいが要求を突き返すものだと思っていた。だから、アンケートもどうせ無意味だと……。そう思っていた時もありました。


政府即答「人命は地球より重い」


どうやら、(宗主国VIPさまの)かスッポリ抜け落ちてるが、まあ言わぬが花だからそうなったんだな。いずれにしても死なずに済んだんだから宗主国VIPさまさまだ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る