第3話 レオス・ヴィダールは闇属性
俺は屋敷の外で待っているカモールの元に向かった。
準備万端といった感じで彼は待っていた。
「待たせたかな? それじゃあよろしく」
「畏まりました。しかしいきなり剣術はその体では少し、いえかなり厳しいでしょう。まずは体を鍛えることから始めましょう」
それには完全同意、剣を振るとか以前にまずここまで来るのに息が上がらない程度には体を鍛えないといけない。
「その代わり、魔法の基礎をお教えしましょう。体を鍛えながら並行して覚えることが可能かと思います」
きた!
ファンタジー要素の魔法。
普通丹田とか心臓とかを中心に魔力が巡ってるとか言うじゃん?
全然感じないわけよ。
だからどうやってやるのか気にはなる。
「ではとりあえず、屋敷の周りを走りましょうか。」
「うん」
言われた通り、ジョギングを開始する。
ドタドタと走るのがすぐに辛くなる。
でも諦めないもん!
俺は最強になるんだ!
なんとか予定の周回を終え、へたり込む俺を見てカモールも少し苦虫を潰したような顔をしている。
まだ準備運動でこれかよって思ってるだろ。
俺も思ってるよ!
その後一回も出来ない腕立てや腹筋を補助してもらいながら何回か行った。
「まあ、筋力の方は魔力の使い方を覚えればカバー出来ます。それでは早速魔法の方を覚えていきましょう」
そういうとカモールは俺の背中に手を当てて俺に教えてくれる。
「今から魔力を流しますので、それを感じ取ってください。害はないので安心してください。ではいきますよ」
「うん」
カモールの手から魔力が流される。
うーん、暖かいな。これが魔力か?
あ、確かに感じる、血液みたいに全身に行き渡っていく。
これが魔力かあ。何が出来るんだろう。
ワクワクしてきたぞ。
「カモール、魔力は感じたけど、ここからどうするの?」
「ほう、もう感じるとは筋がいいですね。次は属性を知るために魔力を練ってみましょう」
カモールが言うには人間には基本的に一人に一つの属性があり、体内にある魔力を体外に放出するイメージをすると、火属性なら火、水属性なら水が顕現するらしい。
逆に体内で魔力を練ると全身の魔力が勢いよく巡り、これは身体強化になり、筋力以上の効果が出る。
俺は属性をイメージしながら体内の魔力を放出していく。
しかしどの属性も引っかからない。
「もしや、聖属性では?」
「聖属性ってどんなの? イメージしずらいんだけど
「神秘的な、神からの啓示のような祈りですかね」
俺は片膝をつき、神に祈るように魔力を放出する。
変化なし。
どうやら違うようだ。
もう大体やったけど他に属性ある?
もしかして無能で全属性使えないとかないよな?
「残るのは……闇属性、ですかね」
闇魔法か。
悪役にはぴったりではある。
俺は片目を手で塞ぎ、厨二っぽくイメージを膨らませる。。
すると俺の周りが闇に包まれた。。
当たりだ!
俺の属性は闇か。
いいじゃん、かっこよさそう。
でもカモールは少し困ったような顔をしている。
「実は闇属性は希少で、研究も進んでいない未知の属性なのです。なので私から教えられることも限られてくるでしょう」
まあ闇だしなあ。悪用とかされても困りそうな属性だし、公言して使う人も少ないんだろうな。
これは独自に開発する必要がありそうだ。
とりあえず闇魔法に関する書物を片っ端から探そう。
金は……あるだろ。あの変な美術品を買うくらいだ。
「闇属性の特徴と言われているのが、攻撃力は低く、補助的な使い道が多いということでしょうか。同じ魔法だと他の属性と打ち負けてしまうことが多いかと」
そういってカモールが手を空の方に向けて叫ぶ。
「ウィンドボール」
カモールの手に風の塊のようなものが現れたかと思うと、それが空に向かって射出される。
「おお、すごいな」
「もちろん込めた魔力量によって威力は違いますし、一概に闇属性が弱いとは言いません。しかし同じ魔力量では打ち負けるということを覚えておいてください。」
闇属性は火力が低い、か。何か有効な手段を考えなければならないな。
先人の知恵があまり使えないのは痛いが、それだけ伸びしろがあると好意的に解釈しておこう。
「他にもその属性にしか使えない魔法が存在しますので、あくまで基本的な魔法を模倣してもらうしかありません。お役に立てず申し訳ありません」
「いや、充分だよ。あとは自分でどうにかしてみる。しかし魔力が循環するのが分かるとなんだか体が軽くなった気がする」
「気がする、ではなく実際軽くなっているのですよ。魔力は筋肉と同じで使えば使うほど強くなります。同時に枯渇もしますので魔力に頼ってばかりではその体は鍛えられません」
そう都合よくはないってか。
それでも魔力による身体強化、希少な闇属性の魔法、扱えれば結構強くなりそうだ。
あくまで扱えれば、だな。
アニメじゃ全然強くなかったし、体を魔改造されても倒されてるしなあ。
「それじゃあ魔力を使ってもう一回屋敷の周りを走ってくるよ」
「倒れるといけませんので、私も同行しましょう」
そう言って重い体を引きずる様に走る俺の横を涼しい顔でカモールがついてくる。
執事って言うと老齢の人を想像するけど、カモールは結構若い。
白髪もそこそこで40才くらいかな?
ちなみに俺は8才らしい。
まだギリギリ修正が効く年齢だと思いたい。
何週かしているうちに、急に体が重くなり、前につんのめって倒れそうになる。
それをカモールがすっと支えてくれて転ぶことはなかった。
「これが、魔力の枯渇状態ってことかな」
いきなりガス欠になった車のように俺の体は動かなくなった。
実際は筋肉を使えば動かせないことはないのだが、その筋肉が悲鳴をあげているので同じことだ。
「そうですね、これ以上は体に支障が出るので今日はここまでにしておきましょう。来週からは剣術も含めて教えることにしましょう」
「よろしく頼むよ」
俺はカモールに抱えられながら屋敷へと戻っていった。
俺抱えられてばっかだな、そして皆重たい俺を軽々と持つなあ。
これが魔力の力ってことか?
こりゃ鍛えがいがあるな。
待ってろよ未来の俺!
最強になった俺を見せてやるぜ!
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