第3話 泣く子ももっと泣く

瓦礫の山で、最低限の衛生を保つのがアランとイアンの請け負った仕事だ。

爆発の傷痕は大きく、かつての高級住宅街の見る影も無いかというと、時々金塊やら宝石やら金庫やらが出てきて、ここが資産家たちの隠れ家的な場所であったことを示す。


「リア充爆発しちゃったみたいだな。」アランが言う。


「お前、それ真顔で言うなよ。聞かれたらオレたちが疑われるぜ」イアンが制止する。


ふと、瓦礫の奥から泣き咽ぶ声が聞こえてきた。瓦礫の隙間から血塗れの手がゆらゆら揺れている。


「うん。まみれだな」

「お前は小学生か」


無秩序に散乱してる瓦礫をどけて少女のまわりに空間を作ると、中から片手が取れて血塗れの少女が現れた。


「うん、まみれ(以下略)」

「お前は(以下略)」


助けを求めて声をあげ続けたのだろう少女はさらに怯えた様子で

「おじさんだれ?」


普段ならアランが答えたのであろうが、何故かイアンがキレる

「この礼儀知らずが!人の名前聞くときは自分のほうから住所氏名電話番号名乗って秘密保持契約にサインしてから、『よろしければ、お名前は?』だろ?」


だめだコイツ杓子定規で融通が効かない。息を吐くようにオヤジギャグしか言わないアランと一緒に行動してるからまるで正常かに錯覚するが、イアンのほうがエキセントリックだ。


「おじさんたちはこの地域一帯の掃除を請け負ったスイーパーだ。お嬢ちゃん、ケガしてるからまずは治療しようね」


いや、手足欠損はそんな悠長なこと言ってないで即止血だろとのツッコミはイアンからは出ない。何故か。アランの回復魔法が規格外なことを知ってるからだ。


さて、少女に事情を聞こう


(次回はカットアップ回にする予定です)



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