聖剣女伝説Ⅱ_9〈完〉
ダンジョン攻略から数日後、黒魔女亭の客間にはソラスとうさみがテーブルを
挟んでソファに座っていた。
「この方は顔がタイプなんですけどちょっと年収がね~。こっちは年収は
高いんですけど、ちょっと年上過ぎて……。私不死身っぽいんで頻繁にパートナー
変えるよりは、できるだけ同じ一人と長くやっていきたいですし。で、こっちは
若くて年収も高くて公爵の地位まで持って見た目もまさに勇者! って感じ
なんですけどなんかしっくりこないっていうか…」
「じゃあもう何処基準で選定していいかわからないですミ」
テーブルの上にはソラスが持ってきた冒険者ギルドに紹介してもらった
パーティ候補の写真が並べられていた。
「いや~でもこういうのってやっぱり相性が大事だと思うんですよね~。
あ、じゃあじゃあ、仮にうさみ様がこの中から選ぶとしたら誰ですか?」
「ええ? なんでうさみですミ? うさみは別にパートナーとか探してないですミ」
「だから~あくまで仮に、仮にですよ~」
「う~ん、そうですミねえ……じゃあ、この中からだとしたらこっちのこの人
ですミかねえ」
「えーなんで!? なんでです!?」
「元公務員ですミし、趣味もボランティアで倫理感がまともそうですミ」
「へーそっかあー。うさみ様ってこういう人がタイプなんですねえ~」
「ち、違いますミ! うさみは人間に対してそういう感情は持ちませんミ!
あくまで仮に! 仮にですミ!」
うさみは少し頬を染めて反論する。
「んもー、わかってますよー。ムキになっちゃってー。あ、じゃあうさみ様。
こっちの人なんてどうです?」
ソラスはカラカラと笑いながら別の写真を差し出す。
「うーむ、こっちは経歴は立派ですミが雰囲気がちょっとチャラい気がしますミ……って、これ以上うさみに聞いてどうするんですミ。ソラスさんのパートナーを
選ぶんでしょうがミ」
「いやあ、まあそうなんですけど……。でもなーんかこうビビっと来る人が
いないんですよねえ。こういうのってやっぱり直感が大事だと思うんですよね~」
「でも実際組んでみないとわからないものも多いと思いますミ。とりあえず、
短期間で適当に選んでみるのはどうですミ?」
「そうですね、まあそんなに急ぐ必要はないですよね。何かあったらうさみ様に
付き合って貰えばいいわけですし。しばらくはゆっくり探します」
「えー? うさみはもう嫌ですミよ? こりごりですミ」
「もーまたまたあー」
ソラスはうさみの肩をポンポンと叩く。
「はよちゃんとしたパートナー決めろですミ……」
それからもソラスは何かにつけてはうさみに会いに黒魔女亭に顔を出すように
なったのであった。
第5話 聖剣女伝説Ⅱ 編〈完〉
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