聖剣女伝説Ⅱ_7

うさみが前衛に立ちソラスの張る結界で攻撃を防ぎ、シュヴァーはその脇から

華麗な槍さばきで攻撃を当てる。

 イーテは後方から光の矢で援護した。

 しばらくの間はうさみたちが優勢となっていた。

「よし! いいぞ! このまま行ける」

 しかしシュヴァーがそう言った直後、ドラゴンの身体が輪のような光を纏い、

それはゆっくりと中央に収束していくと、弾けるように衝撃波が発生した。

 ソラスは咄嗟に結界を張るが破られ、全員が大きく吹き飛ばされ壁に

叩きつけられる。

 体勢を崩したイーテにドラゴンはファイアブレスを吐きかける。

「まずい! イーテくん!」

「うわああああああ!」

 シュヴァーがイーテを庇おうと走り寄るが間に合わず、さらにドラゴンは横目で

シュヴァー確認するとニヤリと笑い、ブレスを止め、体を旋回させ巨大な尻尾で

シュヴァーを弾き飛ばす。

「ぐわあ!」

 弾き飛ばされたシュヴァーは床を数回跳ねるように転がってからなんとか

踏み留まり、立ち上がろうと膝をつく。

 クロイランスから声がする。

「くっ……ここまでの敵とはまるで比べ物にならない……」

「うさみ様! 前回のあれです! 溜め斬りで一気に決めましょう! イーテ様! 

シュヴァー様! 10秒、時間を稼いでください!」

 シュヴァーたちから少し離れた所からソラスが声をかける。

「わかった!」

「わかりました!」

 シュヴァーとイーテはソラスの策を察し、返事をするとそれぞれドラゴンの両脇に回り込む。

「これ腰に来るんですミよねー……」

 うさぎは少し眉を寄せながらソラスを一番キツイ体制で抱える。

 シュヴァーは怒涛の連撃でドラゴンを引き付ける。

「ククク! そうはさせん!」

 しかしドラゴンはそれを払いのけうさみ達に狙いをつける。

「くらえッ!」

 イーテはドラゴンの付近に白い光の矢を複数同時に放つ。

 それは空中で強い光を放ちながら爆ぜドラゴンの目を眩ませる。

 その隙にシュヴァーも大きな赤い旋風を纏った一撃を叩き込みドラゴンの姿勢を

崩す。

 シャキーン! 

 ソラスから溜め完了の音がする。

「撃てます!」

「行きますミーッ!!」

 ソラスから黄金の光が放たれる、しかし。

「フンッ」

 イーテのめくらましから抜け出したドラゴンはうさみの方に前足を掲げると

 その前方にソラスの出す結界と同じような黄金のタイルが広がる、それはソラスの作り出すものより遥かに大きかった。

 ソラスの放った黄金の光はそれに阻まれる。

「そんな!?」

 ソラスが声を上げる。

「ククク、そんな見え見えの大技を喰らってやるほど私は甘くないぞ?」

 イーテとシュヴァーの顔にも焦りの色が浮かぶ。

「さて、耐えられるかな?」

 ドラゴンがそう言うと先程の光の輪が再び現れ収束する。

「まずい! さっきの攻撃だ!」

 シュヴァーが叫ぶ。

「ど、どうすれば!? 攻撃すれば止まりますかね!?」

 イーテも慌てた様子で弓を構えるが。

「わからんが私がやってみる! イーテくんは防御に専念してくれ!

 うさみくんもイーテ君をサポートしてくれ!」

「わ、わかりましたミ!」

 うさみはドラゴンからイーテを守る様にソラスを構え、ソラスは防護結界を張る。

 シュヴァーはドラゴンに向かって赤い旋風を纏った槍を放つ。

「くっ! ダメか!?」

 ドラゴンにダメージは入ったようだが光の収束は収まらない。

 そして再び部屋全体を強い衝撃波が襲う。

「だっダメです!」

 またもソラスの張る結界が破れ全員が吹き飛ばされる。

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