第7話 大切なお祈り
「じゃ、なんでお祈りしているの?」
「好きな人と一緒に在れますようにと」
私が知らないだけで仲の良い友達がいたのだろう。心だけでも一緒にいたいということなのた。良かったねサーシャ。
「それってどんな人?」
「すごく優しくて、すぐそばにいる人です」
「会ってみたいな」
少し間があいた。変なこと言ったかな。
「藍は私のこと嫌い?」
やはり間違えたのだろう。誰だって触って欲しくないところはある。
サーシャだって私がうっかり教会に入ってしまっただけで、一人で祈る時間を過ごしていたのかもしれない。少し鼻声だった。
「サーシャのことは好きだよ」
わずかな電灯の光、見えたサーシャの顔は少し微笑んでみえた。
「それで解決です」
「何が解決したの?」
「涙が引っ込んじゃいました」
「それなら良かった」
そう言うと私の手を取って教会を抜けた。
この時点で少しだけ違和感があった。後に思い知ることになる。その意味を。
寮に帰り外泊届けを出した。
「よいクリスマスを」
そう言われて寮を出た。
「本当にいいのですか? 毎日ですよね」
「でも、クリスマスだからローストビーフやフライドポテトにケーキは食べるよ。ちゃんと食卓の隅にお父さんは座るよ」
毎年、三人に四セットの食器、誰もが無言で静かに進むクリスマスでは無く、四人で五セットの食器。足りないからお父さんの食器が子ども用になった。
「ビーフ美味しいです。ポテトカリカリ、ケーキも美味しいです」
食事を終えて、明後日までゆっくりと言ったが中等部もそうみたいで課題が多いので、帰らないといけないということになった。
「じゃ、お布団敷いてくるわね」
「サーシャ、お風呂に入ろう」
「はい、その作法は」
「先に洗ってから」
「寒いです」
相変わらずすごい体だな。お腹は硬いのに脂肪がついてる場所にはついている。それに大きな胸はなんだ。
「んっ」
「あ、そのごめん」
「いえ、ちょっとびっくりして」
「早くお風呂に入ろう。先にどうぞ」
「一緒に」
「やや狭いというか」
「構いません。寒くて風邪ひくのやです」
なにこれ、めちゃくちゃ柔らかい。
「この前の胸が大きくなるマッサージしますね」
「マッサージって寝ながらするんじゃないの?」
「こういうふうにしてくっついている時にするのもいいのですよ」
まずは下から何度も触られた。
「ここはまずまずですね」
触るというかお腹や腕から集めるという方が正しい。
「そんななの?」
「大きい胸には努力必要で」
「あっ、ん。何を」
先を触られた。
「さっきの仕返しです」
「生意気だぞ。ええい」
そう言って、体を反転させて何と無く押し倒す風になってしまった。
あれ、サーシャってこんなに可愛かったっけ。え、なんで目を閉じるの? 待っているの。何を待っているのよ。
お風呂の外にある脱衣所の戸が開いたガラガラとした音が響いた。
「あんまり長いと風邪引くわよ。二人一緒で入ってないでしょ? 早く上がりなさい」
「は、はーい。サーシャも、行こ」
「ヘタレ」
「ウグッ」
どこでそんな言葉を覚えたんだ。と、いう追及が出来ないくらいさっさとサーシャはお風呂場を出て行った。
こうなるとサーシャの言葉の意味も変わってくる。さっきのお祈りもおっぱいマッサージも。
いやいや、あれはただの慈善行為なだけで、そういうのではない。
相手は中学生だぞ、何を考えているんだ。おっ、おっぱいを触る経験くらい向こうではあるだろう。そうだそうに決まっている。
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