第17話
ストロボ17話
重機を人型にした様なマッシブなロボが岩を受け止める。
「ほう、姿を表したか。貴様のその土の力!もらい受けるッッッ!俺の我岩にひれ伏せっ!」
岩で出来た巨人がドカソイルに掴みかかり、2人はがっぷり4つの状態で力比べを始めた。金属の腕と岩石の腕が共に軋みを上げ、ビキビキと激しい音をたてる。
「パワーだけなら負けるかよっ!油圧パワー全開!シリンダーが裂けてでも砕いてやる!」
そのまま我岩を抱えて放り投げて山の斜面に叩きつける。
「若!今こそ開発した必殺技を試す時ですぜ!」
「ああ、決め技が無いと締まらないっしょ!」
「ヤス、マサ、よっしゃ行くぞ!ブレーカアタッチメント!」
マサのユンボールが合体している右脚の裏から四角い箱が出て来る、それを右腕に装着すると先端から杭が顔を出す。ブレーカとは有名なドリルやパイルバンカーのような装備とは少し違い、対象に押し当てて衝撃を与え岩を割るモノである。
「腹の奥まで響かせてやる!」
ガン! ガン! ガン! ガン!
規則的な衝撃音が辺りに響き渡りもうもうとした土埃が周囲を包み込む。
「よっしゃ!どんなモンや!ユンボール用のでもイケるやんけ!」
押し当てていた腕を下げ、ひしゃげたトレーラーの様子を見る為に振り返る猛。しかし次の瞬間、背後から強烈な一撃を受け地面に崩れ落ちる!
「貴様のおもちゃのおかげでだいぶ動きやすくなったな、礼を言う。しかし、戦いのさなかに背中を向けるとは俺もナメられたものだな!」
猛が見上げると、先程の攻撃で崩れた人型の岩の中から白っぽい岩の結晶で出来た一回り小さくドカソイルとほぼ同じサイズの巨人が現れていた。
「てめぇ……いい気になるなよ!」
猛が飛び起きると再び格闘戦にもつれ込む。しかしパワーだけなら負けていないドカソイルだが、圧倒的にスピードと技術が足りていなく全ての攻撃がいなされ受け流されていた。
だんだんと攻撃を受ける回数が増え、装甲はボコボコになりクローラーは引きちぎれさらには漏れたオイルでまるで血に塗れた様に黒ずんでゆくドカソイル。
「ハハハハ!ライブソイルの使い手とてこの程度か!死ねぇい!」
「ぐうっ………パージ!」
トドメとばかりに大振りな一撃が来たのを見計らい、猛のは3機のユンボールに分離しその場を離れる。
「てめぇら!発煙筒スれ!マサ!トレーラーを!ヤス!そこらの立ち往生してる車からも発煙筒拝借すんだ!」
「「おう!」」
3機のユンボールはそれぞれシートの下の備え付け発煙筒を擦り窓から放り投げる。一瞬で周囲を煙が埋め尽くす。
「目眩ましか、良いぞ足掻け!久方ぶりの戦い、存分に!心ゆくまで!」
煙に紛れて猛はカコウ我岩に殴りかかる猛のユンボール、しかし有効打は与えられない。
「小回りを効かせると今度はパワーが足りないか!不様よの!」
しかし的確に同じ位置に2度目の攻撃が入り、3度、4度とその回数が増え始めていた。
「バカ野郎油断しやがったな?重機乗りは繊細なんだよ!杭打ち機で撃つのに位置がズレたらダメだろうが!フォークはパレットの隙間に差せねぇとダメだろうが!バケットで配管を引っ掛けたら!ダメ、だろうがァァ!」
ついに5回目でカコウ我岩のスネにヒビを入れる。それと時を同じくして、岩でひしゃげたトレーラーのトビラをマサがこじ開けてソラのペール・ボッブ、洋平のガルドカスタム、報瀬のライカが出撃する。
「仲間が出て来たか……分が悪い、一旦退くとしよう。貴様!次に合うときまでにもっと強くなっておくんだな!」
言うやいなや、ものすごい土煙が巻き上がるとその場には崩れた岩だけで後には何も残されていなかった。
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