第15話 目的


昨夜のこと―――


「街に被害が出る。目的は私なんだから私は旅に出ようと思うの」


ソラは居候しているシラセとの夕食の席でそう切り出す。

深刻そうな彼女の顔には決意が浮かんでいた。


「ちょうど良かった。じゃあ早くごはん食べちゃって!あと着替えとか用意しておいてよね」


「着替え?ちょうど良かったって?」


「私も準備するから、30分後に玄関に集合ね!」









「とうちゃ〜く!見てみて!コレが私達の新しい家だよ!」


「いや、そういうんじゃなくてベールだけあれば私は」


着替えを持って郷田建設の倉庫に連れて行かれて、そこにあったのは戦闘機体を積んで運用出来る巨大なトレーラーだった。ソラのベール・ボップ、シラセのライカ、武のユンボール、隣にはマサとヤスのユンボも並んでいた。


「お〜い!ソラちゃんとこに雇われてたって傭兵くんはまだかい?」


「バカやろぉ!コイツのは軍用だ、色気出すんじゃないよ!」


向こうではさらに洋平のガルドの積み込み作業も行われていた。


「ねぇ、聞いてくれる武、洋平。ソラったら“私が居るから〜”とかなんとか言って街を出ていこうとするんだよ?酷くない?」


「自分は把握済みだ。ベール・ボップには監視を置いていたからもし逃走を図ってもすぐに補足出来る」


「そういう事じゃないと思うぞ洋平、きっとあの飛行形態で空を飛ぶのがやみつきになったんだろうさ」


「「HAHAHA!!」」


すると武が1枚の紙を取り出してソラに寄越して来る。紙には「位階構造体とその影響」と書かれており、戦闘機体で攻略作業をするダンジョンの事が書かれていた。


「……これは?」


「つまりだ、この紙を寄越してきた偉い人が言うにはな?ここ最近の宇宙人と地底人騒ぎ、コレもダンジョンの影響なんじゃないかってさ」


「宇宙空間にもダンジョン……と言うか時空の穴みたいなのがあるのかもしれないし、はるか地下空間にダンジョンが出来てそこから地底人が来た、とかね?それに、カイトが消えたって言ってたでしょ?アレ私も見たことがあるのよ。」


「えっと、つまりダンジョンに何かしらの原因がらあると?地底人はそうかもしれないけど宇宙人はけっこう昔にも来てたみたいだから違うんじゃないの?アイツらが言うには私はアイツらの星の姫みたいだし」


「まあ、私の目的もあって各地のダンジョンに行きたかったのもあるのよ。それよりも……お姫様!なんかその話聞きたいよね!」


「ごめんなさい、小さい頃の事はよく覚えて無いの……」


そうこうしているウチに作業が完了したようで剛田土木の専務が暖かいお茶を振る舞い始める


「若、ときどき帰って来るんですよ」


「地底人の首を手土産にしてくるから楽しみにしてな!!行ってくる!!」


武がそう叫ぶとあちらこちらから社員が湧いてきて手を振っていた。


「ぼっちゃん!彼女の1人や2人、連れて来るんですよ!」

「マサ!ヤス!しっかり手綱を握ってろよ!」

「シラセちゃん!配信機材もバッチリ積んでるからね!」

「ソラさん気を付けてー」


郷田土木のみなさんに見送られながらトレーラーに乗り込むとマサが運転席に座る。


「夜明けと共に出発たぁ、粋ってモンですよね」


そのまま敷地を抜けてトレーラーは走り出すのだった……

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