第13話 旅立ち
「なんという事をしてくれたんだ!」
謁見の間で、俺はぶちギレてるドブル王に責られていた
俺が昨日乗り回したリフターって騎士は、来たる勇者の為に置いておいたとっておきであり、扱いにくい事に目をつむれば性能はかなり高水準な騎士であること。
そして精霊との魔法契約で乗った状態で名付けをした者しか動かせないのだそうだ。
聞けば、この世界に来てすぐに玉座に座らされて何かを測られたのもこの騎士との親和性を見ていたらしい………シンクロ率かな?まあ魔法がある世界だし魔道具みたいなモンか
で、そんな事知らない俺が緊急時だからって隠してたリフターを見つけて乗り回し、この騎士は“リフター”だって言ったから他の人が乗れなくなったらしい。
「貴様には助けられた恩があり、この様な事を言うのは筋違いと言うのは分かっている。しかし、こちらの事情も考えて欲しい。」
そこからの説明はこうだ。
曰くあの騎士は国民達の希望となりえるものであり、旗印と言うのは士気を保つ上で非常に重要である。
そして士気というモノのは軍を統率のする時に重要なものであり、より高ければ多少の戦力差もひっくり返す可能性が高まるので、いくさの流れを掴む為に必要なモノと言って良いのであると。
そして、それたりえる存在は“勇者”の資質を持つものであるのが望ましかったらしい。
「まあ、なってしまったのは仕方無い。貴様が居なければ我々とてどうなっていたか………そもそも、何故貴様はあの騎士を“リフター”と?」
「はっ………なんと言いますか……事情をまったく知らず………そもそもあの騎士はリフターと言う名前では無かったのですか?」
「貴様は自然にリフターであると判断したと?」
俺は深く頷く。というかそんな事情あるなら最初に言っておいてくれよな……まあ、勝手に見つけて乗り回したんだから強く言えないんだけど
「して、先日は休息のために話を中断したが、チョウサどのに会いたいと?敵は貴様が勇者の資質ある者と思っている様であるし鍛える為にも会うのが良かろう。既に親書は出しているのでな」
「助かります」
その場を後にして俺は遠出の準備を始める
「カイト、チョウサって男の所に行くんだろ?俺も付いていくぞ」
「ああ、こっちから頼もうと思ってた所だ。お前は頼りになる男だからな」
「ヘヘッ、正面からそういう事言うなよ。照れるぜ」
そうして2人で荷造りを済ませると役人から地図を貰う。話はついている様であっさりと格納庫に通された
「なあ、本当に2人で行かせてくれるんだろうか?普通こういう時って監視とか付けない?」
「そりゃマック、あの王様なりのケジメじゃないのかね。召喚したは良いが何も知らない市民を巻き込む事に変わらないと気づいて悩んでたっぽいしさ。じゃないともっとこっちを縛り付けようとするだろ」
「まあそれもそうだな。じゃ、サッサと平和にして故郷に帰らせてもらおうぜ。美味い日本食とか連れてってくれよ」
「ああ、スシ食いに行こうぜ回転寿司」
「世界を救った報酬が回転寿司かよ、アメリカ人だからって知らないと思ってるな?回らない寿司が良いよ」
「バカ、そういうのを日本じゃ“取らぬ狸の皮算用”ってんだよ。回らない寿司食いたきゃこの戦いを終わらせるんだな」
「違いない」
「「ハハハハハハハハ!」」
格納庫につくとそこには騎士2体を乗せた動力車が鎮座していた。
「ハンドルは任せてくれカイト。田舎ではトラクター転がしてたんだ」
そう言って運転席に座るマック。俺は数日お世話になった整備士の人たちに挨拶を済ませると動力車……もういいや。トレーラーに乗り込む。
ゆっくりとトレーラーが進み王城の出口辺りで俺は叫ぶ
「お世話になりました〜!かならず戦いを広げている奴らをとっちめて来るんで〜!あんまり気にしないで下さいよ王様〜!」
背後からは昨夜の戦いを見ていた多くの兵士達が歓声を上げて俺達を送り出してくれていた
「お前らー死ぬなよー」「アンタが居なけりゃヤバかったからなー」「本当に勇者になってこいよー」「マック!足引っ張んじゃないよ!」「無事に帰って来てくれよー」
そして俺達は向う。目的地はチョウサ率いる反乱軍の拠点ヴィドック。そこに向けて進み出したのだった。
一方その頃ー
「ガッ……ハッ……フゥ…………流石本職だなヨウヘイ。バケモン相手なら遅れを取るつもりはないが対人だと敵わねぇな!」
笑いながら腰を落ち着けるタケシに対し、ボロボロになっているソラは震えながら立ち上がる
「クッ………まだよ!」
「やめときなってソラちゃん根詰めて身体壊しても元も子もないよ〜」
剛田建設の施設内で、武、ソラ、シラセの3人はソラに付けられていたと言うエージェントの外様傭平と特訓していた
「バカ言うなよ武。パワーだけなら俺も敵わねぇ。バケモン相手だったらこっちが教わる立場なんだぞ」
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