第8話 現れる星団騎士

オークと戦った翌日────

 

識瀬に呼び出され猛とソラは学校の屋上に集まっていた。


「なぁ、聞きにくい事だが、やっぱり昨日ダンジョンに居たのは親父さんの敵討ちの為に強くなろうとしてたとかそんな感じなのかよ」


我ながらデリカシーない質問だとは思いながらソラに問う。

星乃ソラはあの事件から人が変わった様な目つきになっており、クラスメイトも距離を測りかねて遠巻きにしていた。


「えぇ、そんな所よ」


猛がおそるおそる聞いたのに対して、本人は至極当たり前の事を………といった様子で認める。


曰く、あの宇宙人は私と私の戦闘機体を狙って来る可能性が高いのだそうだ。

そして彼女は、その為にここ数日特訓をしているといい、猛と識瀬にもその協力をして欲しいと申し出て来た


「お願い出来ませんか?私は一刻も早く戦える様にならないといけないのです!何故お父様の天文台を襲ったのかは分かりませんが、その攻撃を指示した者を探し出して必ずや…………」


次第に低い声になりぶつぶつと恨み言を始めるソラに猛は(ヒステリックになったり殻に閉じこもる様になるよりは良いのか………良いか?)と思いながら受け流す。


すると静かだった識瀬が声を上げる


「2人とも!上空から飛行物体の反応を検知したって剛田土木の人から連絡が!行くよ猛!私のライカもダン庫から出して猛んちの倉庫に入れてて正解だったね!」


2人は弾かれた様に階段へと走り出す。しかしソラは屋上のど真ん中に仁王立ちして叫ぶ!


「ベール・ボップ!」


鶴の一声のあと頭上には青い流線型の小型飛行機が浮かんでいた。


「すっげぇ……」「バカ!早く行くよ!あの娘また突っ込んで行くだろうからね!」


ベール・ボップがUFOへと向かうのを尻目に校庭出た2人は学校前駐車場に止まるトレーラーとその運転席に座るマサを見つける。助手席ではしきりに何やらノートパソコンを触っているヤスも居る


「大将!姉御!コイツが必要なんじゃないんですかい?」


「でかした!」


2人はそれぞれの探索機に乗り込みベール・ボップの向かった方へと駆け出した。








一方────


「この世界の機動兵器がどの程度か見物だな。送り込んだ手の物によるとガルドと呼ばれる防衛機体が一般的らしいじゃないか。だがガルドには飛行能力が無いと来た!これは玉座を取り戻すだけの楽な任務になるだろうな!」


UFO、星間国家ステラリスの船に乗った男は得意げにしている

このやたら長い前髪を流してビジュアル系バンドみたいな髪型をしている気障っぽい男は星間国家ステラリスお抱えのルクス騎士団、第3部隊隊長のハルモスだ


「あのコーキンがステラリスを裏切り、姫を地球人に預けていたと聞かされた時は驚いたものさ。なんせ演説中にはそんな事一言も言わなかったのにさ」


「まあ、コーキンの奴は人気がありましたからねハルモスさん。市民感情って奴を纏める為には裏切って地球についたって情報は余計って事なんでしょう」


通信士の男が皮肉っぽく言うとオペレータールームで笑い声が上がる。

そろそろ目標の街の上空に到着すると判断した航海士は戦闘機を出す指示をハルモスに仰ぐ


「うむ。我が第3騎士団には居ないと思うが、先日の先遣隊の様に落とされるなよ?全隊!前進せよ!あの街を破壊し、玉座を取り返すのだ!」


「ハッ!全隊!前進!」


流線型の船の側面からベール・ボップと似たような小型戦闘機が多数出撃する!


それに相対する様に量産型ベール・ボップであるハリーの編隊に青い機体が突っ込んで行く


「お前らは私の街に一歩も入れないっ!消えろぉ!」


乗り始めて数日とは思えない技量で量産型のハリーと格闘戦を繰り広げるソラ。しかし頭に血が登っていた彼女は編隊飛行する彼らのフェイント機動にまんまとハマりすぐにケツに付かれる


「こらーっ!昨日もオーク相手に突っ込んで行ってそうやってピンチになったでしょ!このイノシシ姫!」


識瀬の声が聞こえたと同時に背後のハリー編隊の近くを岩がカッとんで行く!

通信機からは識瀬のヘタクソ!と言う叫びと猛の声が聞こえて来ていた。



その間にハルモスが乗る船が地上に近づき始め、次第に街への攻撃に加わり始める


「銃は無いの?援護してよ2人とも!」

「バカ言うな!銃なんて猟友会の免許証が必要じゃろがい!」


ソラは機動兵器に乗れるのにそんなバカな、と思ったが、光輝さんにダンジョン探索に連れて行って貰った時の講習を思い出す

それが気の緩みになったのか被弾するベール・ボップ


高度を下げる青い機体に追い打ちを掛けようとする一機のハリーが銃声と共に爆散する!



「やれやれ………私の問題だから手を出すなと言われ見守る事に徹して居たが、お姫様のワガママはもう良いだろう。」


山の中から緑色の幌を被った砂色のガルドが立ち上がり、低空飛行していたハリーを鴨打ちにする!

ハリーの編隊はまたたく間に壊滅したのだった。





船内───


ハルモスは肘置きに拳を叩きつけながら怒りをあらわにする!


「どういう事だ?!一般的なガルドとやらは国の法やらで銃の所持はしていないハズなのであろう?」


「一般的ではないガルドだったんでしょうな団長」


「一度体勢を建て直す!ステラリスに戻れ!」




第3騎士団の船は残ったハリーを回収すると撤退を始めた。






─────


砂色のガルドを取り囲むユンボールとライカ

ガルドのコクピットハッチが開き両手を上げて男が出て来た


「自分に敵対の意思はない!繰り返す!敵対の意思はない!」


「俺は特殊傭兵団サンドロット所属、外様洋平軍曹だ。剛田猛、分屋識瀬、改めてよろしく頼む」


そこには隣のクラスで目立たないグループに居る男が軍人の様ななりで現れた

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