第4話  配信者?配信記者よ!


私こと分屋識瀬〈ぶんやしらせ〉は高鳴る胸に撮影用ドローンを飛ばしていた


昨日のUFO襲撃時には出来るだけ近くで見ようとドローンを操作してUFOに接近すると呆気なく撃ち落とされてしまい、2台目を出してる途中に天文台から現れた変形する機動兵器に一瞬で撃墜されてしまった。


あのUFOと新型機動兵器をもっと近くでカメラに収めたかったのだけど、天文台には近づかせてくれなかった……炎上したくなかったし……


今日は昨日の配信は中途半端だった事を後悔しながら新しいドローンの調整をしていたら突然巨大な土偶が街を破壊し始めたじゃない!


こうしちゃいられない!と家を飛び出し町の交通整理を掻い潜り、塀の上屋根の上なんのそので土偶の近くに居座りドローンで映像を撮り配信を始めた


タイトルは!【怪奇?!巨大土偶あらわる?!】


「は〜い!みんな〜!ダンジョン攻略お知らせチャンネル!モンスターパパラッチのパラ子だよ〜!」




『きちゃ』

『はーい!』

『はーい!』

『こんパラ〜』

『パラ子ちゃん今日も声だけ?』

『はーい!』

『昨日のUFO大丈夫だったの?』 

『こんパラ〜』

『はーい!』

『住んでる街特定しました』

『はーい』


「みんな!昨日はいきなりのダンジョン外での配信でビックリさせてごめんね!」

「本当は私のライカで撮りたいんだけどダン庫からこっちに出す手続きも惜しくて飛び出して来ちゃった!」


私は配信者としての声に切り替えていつもの様にマイクに語りかける。


「でさー昨日のUFOもだけどあの土偶?何なんだろうね〜。それでなくてもダンジョンなんてのがある世の中になってるのに宇宙人と来て次は地底人だよ!?次は異世界人が来るのかもね!」


なんておどけながらも私は土偶に釘付けになる。

あの土偶は何かの手掛かりになるかもしれない、とこの気持ちは抑えられそうに無い。


『危ないよ!』

『近づかない方が………』

『コレヤバくない?ダンジョンハザード?』

『いや、同じ町住みだが出現場所がダン庫じゃない』

『はなれて』

『危険じゃないの?』

『ライカに乗って無いのに』


土偶に近づくにつれコメント欄では心配の声が上がる。でも私は気にせずに観察する。少しでも情報を集めるためだし、何よりコイツは私の目的に近づける気がする


「どおぉぉりゃああああ!」


いきなり謎のハニワが現れてドグーを殴り倒す!


「いや殴った手が砕けてるし!何アレ?アレも防衛隊の新型?なワケないよね!なんなのあのハニワみたいなの!」


『ハニワwww』

『砕けてるw』

『ざっこwwwwww』

『声がしてる……誰か乗ってる?』

『ハニワキター!!』

『本当だ人乗ってない?アレ』


「どりゃー!って言ってたねー…ん?何か聞いた事が」


近くの工事現場からパワーショベルが2台爆走して来るとハニワを支えて何か喋ってる?と思ったら取り込み出した?!


「アレ地元じゃ有名な土木業者の剛田土木のユンボじゃん!じゃああのハニワ剛田土木の秘密兵器?!」


みるみるウチにユンボとハニワが合体して無骨なロボになるとドグーを一発のパンチで破壊してしまう!


『は?』

『は?』

『は?』

『え?』

『マジ?』


「ヒュー!すっげぇパワー!最初は脆かったのにユンボを取り込んでロボになったよ!パワーだけなら防衛機体のガルドや上位探索機を超えてるんじゃない?」


『いやいや!』

『土の塊がユンボを取り込んでたのは』

『明らかにアレはヤバくない?』

『侵食型のモンスターなら下手すると街一つ焼かれるんじゃない?』

『ヤバいヤバいヤバい』

『バイオハザード始まらない?』


コメント欄は大荒れしている。でも私は不思議とあのハニワ重機には危険なモノは感じられなかった。それからハニワ重機は標識や車を丁寧に避けながら町外れにある剛田土木の格納庫に入って行ってしまう。


「見ましたか皆さん!やっぱりあのハニワ重機は剛田土木の新型重機か何かだったみたいですね〜!では次の配信は剛田土木の関係者に突撃インタビュー!してみたいと思いますっ!それでは!」


と言って私は配信を切る。




───次の日、学校で、


「剛田、ちょっと話があるんだけど」


私は同じクラスの剛田猛の所にお願いをしに来ていた。あのハニワ重機の話とドグーについて聴きたいと、真正面から。

だってコイツは回りくどい事が嫌いで割りと真正面から行った方が良いってのは昔から知ってるからね。


「ヤだよというか、俺も知らねー。どっちか言えば俺は宇宙人の話が聴きたいから星乃にインタビ……いや、ダメだな。お前もやめろよ?星乃の状態が分らない女じゃないと知ってるけど一応な」


妙に神妙な顔で忠告してくる。やっぱり何かあったんだ。でも私はそれが知りたい。アレはなんなのか、どうして今あんなのが出て来たのか、知りたいのだ。


「分かってるわよ、そんなの。だから貴方の方にインタビューしにきたんじゃない」


剛田は渋い顔をしながら言葉を選んでいる。選んでいる?コイツらしくないな

いったい何を隠してるの?何を知ってるの?

コイツまで私を置いていくつもり?


私はたまらず詰め寄って早口でまくし立てる。

我ながら子供がダダを捏ねてる様だなと思いながらも構わずにどうして、何がと問い続けるとそこにクラスメイトが割って入って来た


「や、やめて……下さい。た……猛さんが困って………ます……」


「た け し さ ん 〜〜?アンタ実莉といつそんな関係になったのよ!やっぱり胸か?胸なのか!」


いつも目立たない様に自分の机で本を読んでいる、眼鏡と三つ編みがトレードマークのクラスメイトが入って来た?この娘はこんな娘じゃ無かったハズ………何かあったの?


「コイツとはそんなんじゃねぇよ!もう良いだろ。まだ話したきゃ放課後にライカでの探索また手伝ってやるからそろそろ離れてくれ。周りの目がな………」


「ほ、放課後にこの人と出かけるんです……か?私のおじいちゃんと3人で話があったのに」


「ほぉ〜?どういう話なのかなぁ〜?」



「良いだろ!ほっといてくれよ……ああ、でもユンボ2機の補填しないといけないから今度ダンジョン探索手伝わせてくれ。話はまたその時にな」


そう言って2人は教室から連れ立って出て行く。


おじいちゃんと3人で?ますます怪しい……

放課後は2人をつけていく事にした。





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