第41話
「……見せしめですか?」
マルレーヌ・デュギーの検束の一報を聞くと、ベアタは、
サンデルスが口を開かないので、彼の方を向いて大きめのサングラスを下げ、眉根を寄せて
「予防
サンデルスの方は、やっぱり
いま彼女は予防検束と言ったが、彼の見方は少し違った。むしろマルレーヌ・デュギーの身柄を保護するための〝方便〟だろうと見立てている。だが、法執行機関が表立って
どうもその線では
(※公安を害する
それはそれとして、マルレーヌ・デュギーにしても
だからサンデルスは、あえて断定調の口調で言った。
「――…他の逮捕者と比べれば明らかに〝黒〟だ」
案の定、ベアタの
6万人を収容するアールーズ・タイタンズの本拠地は、
翻って、ヨーダム大学の学籍を得て入邦したテロリストが市中でバスを吹き飛ばしたことは、紛れもない事実なのだ。少なくともキャンパスを統括する筆頭学部長として、管理責任は問われるべきだろう。
そのサンデルスの言わんとすることは、ベアタにも理解できる。間違っていないことも。
結局、ベアタは矛先を収めることにし、
…――そうして、
それから半日が過ぎたその日の夕刻、定時で仕事を終えて帰宅していたサンデルスは、ベアタから電話で
2000台を収容可能な駐車場の端に車を停めたサンデルスは、周囲でやたらと目に付く軍用車両の間を縫うようにして
その兵士らの対面には、防衛軍の警備行動によって逮捕・連行された者らの安否を気遣う関係者や、軍への抗議の声を上げる集団、そしてそれらを取材に集まった報道関係者といった者らが居並んで大層な人混みとなっており、抑制的な振る舞いを見せている兵士の列との間に怒号が飛び交っている。
サンデルスはその人混みを掻き分けるようにゲートへと進んで〈
タイタンズのホームゲームで何度も訪れたスタンドまで階段を上ると、照明に照らされた
周囲の観客席から小銃を抱えた兵士が見下ろしており、競技場の芝生の上を、若者――おそらく〝サローノ人〟…――が、迷彩服の兵士の間を、まるで追い立てられるようにしてフェンスの内側へと誘導されて行く。
フェンスに押し込められた彼らの表情の中に〝怒り〟を見て、サンデルスは暗澹たる気持ちとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます