第12話
コトヤの体はいつもより軽かった。それは羽が生えたように。
カイジュと別れたところに着いた。人が見当たらない。
辺りを見回すが、カイジュすら見当たらない。
コトヤ「だめだ!解呪くんも見つからない!」
コトヤは人目のつかないところまで来て思う。
コトヤ(ヨツカさんの言いつけ守れなかったや、後で謝らないと…。それより今は解呪くんとユーリを探さなきゃ!飛べ!僕の体!)
コトヤ「飛べえぇえ!」目を瞑って腹の底から叫ぶ。
コトヤはふわりと体が浮いた気がして瞑っていた目を開けた。そこの眼下には街が広がっていた。コトヤの言葉の力は不可能を可能にしえる魔法であった。
コトヤは驚かず、集中して見回す。すると、カイジュらしき人影が見えた。
コトヤ「いた!早く行かなきゃ!」
コトヤの跳躍が終わり、足をつく。鋭い痛みが走るが構わず走る。
コトヤが見た場所に着くとそこには誰も居ずに辺りを見回す。
すると、捕まったのであろう。ユーリとカイジュが縄で縛られ担がれ、コトヤの目の前に現れる。
相手は3人。普通では逃げなきゃいけないところである。
コトヤ「あなたたちは一体誰ですか」
?1「お前らは他のところ出身だろ?見りゃわかるんだよぉ!芋っくせえ匂いもぷんぷんさせてなぁ!」
コトヤ「聞こえなかったのか?誰だと聞いているんです」
?2「テメェこそわかってんのかよ!お前1人に対してこっちは3人いるんだよ!お前は馬鹿なのか?ああ!?」
コトヤ「僕が聞いているのはあなた達のことです」
?3「話が通じねぇ奴だな!」
コトヤ「もういいです。そちらの2人には縛った以外何もして無いですか?」
?2「こいつ狂ってんのか?」
コトヤ「してないですか?」
?3「男は体格がいいから奴隷で売ったら良い値段がつくだろうなぁ!」
?1「女の方はこりゃ別嬪だ!俺らの奴隷にして毎日遊んでやるぜ!」
コトヤ「そうですか、わかりました。それではユーリとカイジュくんを返してもらいます」
?1「こいつマジで頭ぶっ壊れてるんじゃねぇのか?」
?2「もういい、こいつぶっ飛ばそうぜ」
?3「ストレス発散には少し退屈しそうだがなぁ!」
コトヤ「“止まれ”“伏せろ”“動くな”」コトヤが発した瞬間謎の連中は這いつくばり、固まる。
コトヤ「それじゃ、返してもらうよ」
?2「なんだこいつっ!」
?3「体が全然動かねぇ…」
?1「お前一体俺たちにな…」
コトヤ「うるさいからちょっと静かにしてよ」
?『…!…!』
コトヤ「いつまで保つかわからないけど、僕たちには関わらないでね」
コトヤは何もできない謎の連中を見放し、ユーリとカイジュの元へ駆け寄る。
コトヤ「ユーリ!カイジュくん!大丈夫!?」
ユーリ「う…う…」
コトヤ「眠ってるだけか…カイジュくんも、よかった。燃えろ」
コトヤは縄を火で炙り切ってユーリを抱き抱え、カイジュを背中に乗せようとする。
すると、急に足に力が入らなくなる。おかしい。さっきまで走っていた足が全く動こかないことに気づく。
コトヤ「こんなところで…くそっ…」
カイジュ「お前が俺を背負おうなんて無茶がすぎるんだよ」
コトヤ「カイジュくん!気がついたんだね!」
カイジュ「あいつらは一旦放置する。とにかく逃げるぞ」
カイジュは右肩にユーリ、左肩にコトヤを乗せ走り出す。
?『…!…!』
―
コトヤ「みんな無事でよかっ…」コトヤの体から急に力が抜ける。
カイジュ「今度はお前が気絶するのかよ…ったくよぉ………ありがとな」
ユーリ「カイジュもちゃんとお礼言えるんだ〜」カイジュを揶揄う様に笑う。
カイジュ「起きてるんならお前も自分で歩け」カイジュはユーリを前方へ投げる。
ユーリ「カイジュのバーカ」舌を出してカイジュの方を見る。
カイジュ「さっさと走れ馬鹿野郎、さっきの奴らから逃げなきゃならねぇ」
ユーリ「ヨツカさんのところへ行かなきゃ!」ユーリとカイジュが走る。
―
?『…!…!』
???「ご苦労様〜いや〜面白いものを見せてくれてありがとう〜」
?『…!…!』目の前に現れた人物に驚愕する。
???「いやぁ〜面白い魔法だよねぇ〜君たち用済みなんだけど〜どうする〜?」
?『…!』にこやかに笑う仮面の下は目が笑っていない。
???「そっか、楽になりたいかぁ。わかった!それじゃお疲れ様〜」
謎の連中が影に纏われ呑み込まれていく。
?『…!…!…!』仮面の人間は手を振って見送る。
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