第11話

コトヤ「そろそろお昼なのかな、人が増えてきたね」

カイジュ「ユーリ、お前迷子になるなよ」

コトヤ「カイジュくんと手を繋いだ方がいいかもね」

カイジュ「よせよ、お前が…ユーリ?」

コトヤ「あれ?さっきまでいたよね?」

カイジュ「やばい!あいつのことだ!何かしらに捕まったのかもしれない!」

コトヤ「やばいよね!僕、ヨツカさんに話してくる!」

カイジュ「俺はこの辺りで話を聞いてみる!」

ヨツカ「ったく!だからあれほど気をつけろって!」

コトヤ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめ」

ヨツカ「謝っていたってユーリは見つからないよ!お前も足を使って探しな!私は他を当たる!」

コトヤ「でも、どこを探せばユーリが…」

ヨツカ「考える前に動け!お前はなんのためにここにきたんだ!」

コトヤ「僕は…僕は…」

ヨツカは目の前から消え、コトヤは膝を抱え泣きじゃくっていた。

初めてこんなに喪失感を感じたのかもしれない。なのに、動けない自分がいて悔しい。

ユーリが変な人たちに絡まれていたらどうしよう。ユーリがもしも危ない人に関わっていたらどうしようと。

黒いモヤモヤがコトヤの中でどんどん大きくなっている。

コトヤ「僕は…僕は…どうしたらいいんだ…!」

コトヤはふと思った。どうしてこんな思いが生まれたのだろうか。

今まで親に絶望し、友人に絶望し、学友に絶望し、先生にも絶望した。

それがどうしてだろう。ユーリがいなくなると寂しい。悲しい。

誰かがいなくなってもこんなに黒いモヤモヤがはっきりとわかることはなかった。

コトヤ「そう言うことか…僕はユーリやカイジュくんに特別な思いがある。この感情ってなんだんだろう」

コトヤは顔を拭き、立ち上がる。

コトヤ「わからないから、みんなに聞いてみよう」

コトヤは歩き出す。

そして、どんどんスピードが上がる。

駆け出したコトヤはヨツカの声すらも届いてなかった。

ヨツカ「なんだい、強い子じゃないか。心配して損したよ」

?「そうか?損はしないんではないか?そもそも君は心配してないんだろうから」

ヨツカ「ふん、知った口聞くんじゃないよ。全く。あぁー今日はご馳走だねぇ」

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