第4話 『卒業』


 明日は日曜日で、月曜日は祝日。


 そのつぎの日が卒業式というわけで、今日が最後の授業(?)


 しかし、午前中でおしまいになり、あっという間に、教室の中には、『なんとかフェスティバル』とかの横幕が張り出され、机も椅子も、片付けだされて、もう、お祭り気分だ❗


 あわてて、鞄類をかかえて、ぼくは脱出しました。


 こうした行事には、なんの、かかわりもありません。


 掲示板を見ても、とくに、変わりはなく、ぼくは、丘の上のお気に入りの食堂に、最後のおうどんを食べに上がります。


 知り合いが、声をかけてくる。適当に挨拶する。


 なんだか、すごいことを、やってるとか。


 丘に上がると、なんと、周囲すべてに、あり得ないような光景が広がります。


 見たこともないような、色とりどりの、異国のでっかい歴史的な艶やかな船や、汽車や、パレードなどが、前方の海を覆い尽くし、右から左に、賑やかに動いてゆく、のです。


 『わあ。すごいなあ。』


 これこそが、卒業の祝典でありましょうか。


 なんと、素晴らしい角出かあ!



    🐨🐨🚂🐨⛴️🐨🐨



 卒業式は、44年か、45年か、前辺りでした。


 その時の写真は残っていて、つい先日、同期生6人に会いました。


 そのことも、影響はあったのかもしれません。


 が、このような、賑やかな行事は、たぶん、なにもありませんでした。


 また、丘の上の食堂、というのは、たまに夢に登場しますが、まるで、正体不明です。おうどんや(食堂)のおばさん、という方の正体も判らない。そういうのは、なかったです。まして、海のすぐ、側でもなかったです。


 今回は、あまりの光景に圧倒されたか、食堂は、目の前の筈なのに、出ませんでした。


 その、あり得ないような、ヴァーチャルな映像は、中身は違いますが(そらに輝く花火とか賑やかな映像だったり、宇宙船だったり、UFOみたいだったり、たまには、攻撃してきたり、まあ、夢のような、こうした映像だったり。)、わりに、さいさい、子供時代から夢に出てくることがあります。


 しかし、こんかい、流れてきた雰囲気は、明らかに、賑やかさと共に、絶望感とか、むなしさ、とか、悲しみ、とか、そうしたものでしたから、つまり、『夢破れてやましんあり。』という、辺りだったに違いありますまい。


     💤🎠💤

     

 


 


 

 


 


 

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