第37話 マンドラゴラのそぼろ煮と?
フォレストダンジョン二十層のセーフエリア。
ドラゴンダンジョンのセーフエリアと違い。
草木が多く、キャンプ場のイメージに近いだろう。
タヌポンの目の前には大量の両断されたマンドラゴラが並べられる。
「さて、マンドラゴラもかなり集まったし。料理していこう!」
:マンドラゴラギロチン……
:何気にトレンド入りして笑った
:語感悪いけど口に出していいたい
:マンドラゴラギロチン!
「思ったんだけど、俺の配信でトレンド入りするの基本名前おかしいの多くない?」
:音割れ焼肉とか?
:やっとかタヌポン
:NEWマンドラゴラギロチン
:確かにw
:まぁタヌポンだし
「それどういう意味かな!? ……とそれよりタイトルコール」
ダン!と言う効果音が流れる。
「今日作るのはマンドラゴラのそぼろ煮だ!」
:和風……
:チョイスが渋い
:いつもの派手なのにどした?
:具合悪い?
「いや、そぼろ煮でもいいだろうが!? ――つい最近知人に奇をてらった料理ばっかりって言われてさ? 悔しいから普通の料理で実力見せようと思って」
:草
:絶対レッドドラゴンの配信の時に言われたコメントw
:お前らさぁ……
:すいやせん!
:反省はして――
:ない!
:ないんかいw
「気にしないで、リスナーは悪くないから。リスナーは、ね?」
:タヌポン知人にブチギレで草
:料理の事触れたら怒るって前証明したやろw
:もしくはその知人さんあえて煽った?
:タヌポンの誘導うますぎ
:その知人さんやりおるw
タヌポンは手を合わせる。
「はいはい、また話が脱線しそうだからさっさと本題に入ろう」
タヌポンがマンドラゴラを水で洗い、ピーラーで皮を剥いていく。
剥き終わったマンドラゴラをまな板の上におき、短冊切りに切る。
「切り終わったら、事前に水を沸騰させた鍋に、いつもの毒消し草と一緒に入れて十五分茹でる」
:今回は毒消し草オンリー
:前は麻痺消し草入れたよな?
:なんか基準でもあるの?
タヌポンは腕組みをする。
「しいて言うなら、モンスターの特性、かな? スライムは攻撃に麻痺と毒が合わさった酸の性質だから麻痺消し草と毒消し草。マンドラゴラは毒消しそうだけでも、十分だったから、多分音波攻撃は幻覚つまり毒状態に近いのからかも? 確証がないから何とも言えない」
:なるほど
:特性で決めてるんだ
:肉は結局なんなのさ!
:前教えないって言われたやんけw
:もしかしたら、今回のイベントで出るかも
:俄然楽しみになってきた!
タヌポンが人差し指を立てる。
「ちなみにマンドラゴラは魔力回復に良いから魔力ポーションの材料にもなるが、そのまま食ったら、吐き気、嘔吐、幻覚作用あるから気を付けろよ。あと、物凄く苦い」
:こっわ!
:それで病院行きになった奴もいるしな。
:この配信見てるとモンスターって食えると思うからな
:※彼は特殊な訓練を受けています
:どんな訓練だよw
「まぁあれは本当に三途の川見えるからやめとけ」
:あれタヌポン?
:何か口調的に食ったことあるような言い草だね?
:まさか……
タヌポンはわざとらしく顔をそらす。
「さ~て、どうだろうな」
:絶対食っただろw
:さすがタヌポン
:怖いもの知らずかよ
:食うに困ったからって……
:ゲテモノ食うの趣味なんですね
:ゲテモノ食いのタヌポンさん♪
:ラノベタイトルかよw
「そ、そろそろ茹った頃だな」
タヌポンは話をそらし、鍋の中身をザルに移し水気をとる。
その後、毒消し草だけ取り除き。
マンドラゴラを別皿に取っておく。
「熱したフライパンに、ひき肉を入れ、火が通るまで炒めた後。水、醤油、酒、みりん、さとう、そして最後にマンドラゴラを加えて十分煮込む」
:この時点でうまそう
:醬油のいい匂いがしそうです
:私はそれを美味しく思います
:何で自動翻訳みたいな文章w
ぐつぐつと煮込まれたマンドラゴラが醬油の色に染まり始める。
「よし、ここで水溶き片栗粉を回し入れ。固まり始めたら」
鍋の中から一すくいし、小鉢に入れる。
最後に小ねぎを上からかけた。
「マンドラゴラのそぼろ煮、完成だ!」
:やべぇ!
:うまそう!
:ザ・和食って感じする
:なお、使われてるのはマンドラゴラの模様
:草
醬油色の染まったマンドラゴラやひき肉。
彩の小ねぎがアクセントになっている。
「さぁ、それじゃあ冷めないうちにいただきます!」
タヌポンが箸で一口頬張る。
:くるかぁ~
:来るぞ
:来るぞ! 〇戯!!
:社長は帰ってもろてw
「うま~い! マンドラゴラのシャキシャキとした食感! ひき肉の油と醤油の味が相まってベストマッチ! 日本人に生まれてよかった!」
タヌポンが画面外からご飯を取り出し、マンドラゴラのそぼろ煮をおかずにパクパクと食べる。
:もうご飯、既に準備してて草
:所属前は配信で映らなかったよな?
:と言うか買えなかったのでは?
:むしろご飯買えない程貧乏……
:ご飯がすすむ(ご飯が買えるとは言ってない)
:【¥5000】美味しい物食べて
:タヌポンに普段厳しいリスナーが見せる優しさ
:DV彼氏かな?
「ありがとうございます! 最近お腹いっぱい美味しい物食べられて前より力が増してる気が――」
:これ以上化物になる気ですか!?
:奴に力をつけさせるな!
:レッドドラゴン倒す化物強くしてどうすんねんw
:ほら、みんな早く罵倒しないと!
「何でそうなるの!?」
タヌポンがガクリと肩を落とす。
そして、いきなり手を打った。
「そうだ、さっき取ったビックスパイダーも食べなきゃ。ご飯のおかずに、もう一品欲しいし」
:はっ?
:うん?
:今、ビックスパイダー食うって言わなかった?
:気のせいだよね?
:おい、嘘だよな?
「毒消し草といつもの黒スパイスかけてから、素揚げすると美味しいんだよね♪ ついでに料理しよう♪」
その発言を聞いた瞬間、コメント欄がざわつく。
:【¥10000】まじでやめて!
:【¥30000】お願いだから許して!!
:【¥50000】後生ですから!!!
:みんな必死で草
:誰が好き好んで虫料理何て見たいんだよ!
:いや、でも俺はちょっと興味ある
:ちょっと黙ってて!
「それじゃあ引っ張ってくるからちょっと待ってて」
タヌポンが画面外に出て、ズルズルと何かが引きずられる音が画面から聞こえてくる。
:やめろぉぉぉ!
:いやだぁぁぁ!!
:いくらモンスター料理でも虫はいやぁぁぁ!!!
:タヌポンコメント見てるんだよな?
:わざとやってる?
:タヌポンの逆襲
:誰が生んでくれと頼んだって言いそうw
「コンが言ってた。やるなやるなは、やれって意味だからジャンジャンやった方がいいって♪」
:コンチャァァァン!?
:タヌポンになんて事教えてるんだ!!!
:まさかのコンちゃん情報w
:俺達コンちゃんのせいで死ぬのか……
:それなら悪くないさ
:お前に負けるのなら悔いはないさ
:いや結局タヌポンにやられてるんだけどね!?
:リスナーの敵はコンちゃんでしたwww
タヌポンが画面に戻ってきて、手に緑色の足が少し見える。
:ギャァァァ!
:助けてぇぇぇ!!
:やめろ!
:死にたくない……死にたくない!!
そしてタヌポンが画面にビックスパイダーを出そうとした瞬間。
プツリと配信が切れた。
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