第30話 兎と狸の料理対決配信
ドラプロ公式チャンネルの放送。
料理番組のセットのようなキッチンが整備され、そこに司会と兎の仮面を付けたゴスロリの少女が映し出される。
:レッドドラゴン討伐おめ!
:公式でモンスター料理とか運営タヌポン推してるな
:というかタヌポンあの後どうなったん?
:途中で音聞こえなくなるし
:タヌポンが倒れた所で配信も切れたよな?
:でも、死んだってニュースは流れてないから生きてる
:あれだけケガして生きてるとかバケモンかよ
:よく考えろタヌポンだぞ?
:じゃあ納得だわ
:でも、今回の調理タヌポンじゃないのな
:流石にまだ病院じゃない?
:【¥50000】この子可愛い♪
:限界投げ銭草
:ロリコンさん、こっわ……
:でも、タヌポンよりこっちがいいだろ?
:そりゃあ、可愛い女の子の方がいいに決まってる
「お褒めいただきありがとうございますわ♪」
「今回は秋葉原で料理店を営んでいらっしゃる。ラビットムーン店長の宇佐美様にレッドドラゴンの料理を作っていただきたいと思っています」
「精一杯頑張りますわ♪」
:え!?
:小学生じゃない……だと……
:合法ロリ?
:いや、ていうか、兎姫じゃんか!
:服装でバレバレ
:仮面してるけど絶対そう!
:マジか!
:有名な人?
:二つ名持ちのS級探索者
:ふぁ!?
:やっば!
「今回はレッドドラゴンの調理はお任せくださいですわ。どこぞのタヌキ面よりうまく作りますわ♪」
宇佐美は指を指して、カメラにアピールする。
:www
:何だ、このメスガキ
:最初からタヌポンに喧嘩売ってて草
:さすがに演出でしょ?
:炎上商法かよw
:誰か分からせないと……
:分からせニキ!
流石に司会進行役も顔が苦笑いだ。
「あの、個人を特定するような発言はちょっと……」
「あら? わたくし誰とは言ってませんわ♪ 素人同然の奇をてらった料理をしてる人は心当たりあるかもしれませんけど♪」
:お腹痛いw
:タヌポン嫌われすぎて草
:構文が完全にタヌポンのリスナーだろw
:完全に狸の扱いが分かってらっしゃる
:この人出来る!
:いつものいじり芸で草
:タヌポン病院でツッコミしてそうw
:確かにw
そんなコメントが流れる中。
画面外の声が入る。
「おい、坊主! 流石に今喧嘩はまずいって!」
「気持ちは分かるけど落ち着いて!?」
「ちょっ!? どこにその仮面隠し持ってたんですか!?」
:うん?
:何か騒がしくないか?
:パーティー会場で暴れてるやつでもいるのか?
:民度悪くて草
:警備さん何やってんのw
:いや……今仮面って言わなかったか?
:まさか……
画面外からタヌキの面を被ったスーツ姿の男が現れる。
そう、タヌポンだ。
:まじか!?
:【¥20000】奇跡の生還
:生きてやがった!
:【¥10000】タ゛ヌ゛ホ゛ン゛ヨ゛カ゛ッ゛タ゛
:【¥50000】演出最高すぎだろ!
:二週間で退院してるの早すぎw
:やっぱさっきのタヌポン登場演出か
:煽ったのもわざとだな
:いい演出だ
宇佐美は楽しそうにタヌポンを見る。
「あら♪ 初めましてタヌキの人♪」
「初めましてウサギの人」
「「ちょっと料理対決しませんか?」」
お互いの視線が交差する。
:突然の料理対決!?
:料理漫画かよw
:どんな展開!?
:嫌いじゃないわ!
:【¥50000】盛り上がってまいりました!!
:コメント欄の勢いすごいw
司会の人が二人を交互に見て、あたふたする。
「こ、困りますよタヌポンさん! そんなこと突然言われても……」
「構わん、ワタシが許そう。そちらの方が盛り上がりそうだ」
画面外から渋い声が聞こえる。
カメラが声の方に向くと和服姿のナイスミドルが映し出される。
:誰?
:龍巳晴夫さんだ!
:ドラプロの社長やんけ!
:初めて見た
:しかも許可くれるんだw
:寛容やんけ
:いい社長
:どこぞの捕まった社長夫妻よりなw
:あの記者会見笑ったわw
:こ゛ん゛な゛は゛す゛し゛ゃ゛!
:脳内再生されたわ
:や・め・ろwww
:マジレスするとこれ仕込みだろ?
:仕込みじゃなかったらヤバいしな
タヌポンが社長に深々と一礼する。
「ありがとうございます」
「うむ。それでは審査員はこちらが勝手に用意しよう」
そう言って画面外に退出する。
:【¥50000】面白くなってまいりました!
:この配信の同接やっばw
:1万いった!
:チャンネル登録者もどんどん上がってる
:タヌポンのチャンネルに並ぶんちゃう?
:いや、タヌポンのチャンネル今100万人いってる
:前より増えとるやんけw
コメントが流れている間にお互いに料理をする準備が出来上がったようだ。
「そ、それでは司会の私も動揺を隠しきれませんが、料理ショー改め料理対決を始めていきたいと思います。審査員はこの方達です!」
司会が手を向けるとカメラが審査員が映し出される。
「右から、ドラプロ社長龍巳晴夫様、その娘さんの龍巳陽子様!」
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしく頼む」
社長は感情を表に出すのが苦手な人なのか短いあいさつで済ませる。
陽子ちゃんは隣に父親がいるからか、かなり緊張した様子だ。
「ドンドン行きましょう! 武器屋雷神の店主にして、雷神の二つ名持ち、熊坂雷蔵様! そしてその妻にして、有名ブランドシルフの店長、風神の熊坂風音様だ!」
「おう! よく分かんねぇがよろしくな!」
「公平に審査するわ」
雷蔵さんがカメラに向かて、強面の顔でニカッと笑う。
風音さんはその隣で朗らかに笑っている。
「以上四名の審査員でお送りします!」
:なにこの豪華メンバー
:絶対急遽集めたメンバーちゃうやんw
:そんな偶然あってたまるか!
:仕込みだな
:確定
:この場にS級二つ名が三人
:中々貴重な映像だろ
カメラが壇上に移る。
「さて、ここで宇佐美様に挑む、チャレンジャーの紹介をしましょう! 現在チャンネル登録者100万人! 今回使われるレッドドラゴン肉を提供いただいた有名配信者! タヌポン様だ!」
カメラに向かってタヌポンはピースする。
:やったれぇぇぇ!
:分からせ期待!
:いや、逆にわざと負けそう
:ドエムだし(ぼそ)
:タヌポンロリコンなんですね
:失望しましたコンチャンネル登録解除します
:なんでや! コンちゃん関係ないやろ!
「ロリコンじゃないが!?」
「あら? ロリコンさんなんですの? そんなタヌキさんの期待に、応えてあげますわ♪ ざ~こ♪ よわぁよわぁた~ぬき♪」
宇佐美が口元を押さえて、タヌポンを指さす。
:これはテンプレメスガキ
:助かる
:リスナーの期待に答えてくれる宇佐美様!
:そこにしびれる憧れる!!
「……〇す」
:お兄様!?
:口が悪くってよ!?
:思わずピー音入ったやんけw
:タヌポンが珍しくあらぶってらっしゃる
:料理をバカにされるのが怒りに触れたか
:アイデンティティーバカにされたらそりゃきれるわw
:面白すぎるw
互いに火花を散らす壇上。
司会があたふたして、手を挙げる。
「そ、それでは! 時間無制限! 完成した方から順番に提出する形とします! お二人とも始めてください!」
司会の号令とともに料理対決が始まった。
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