つかの間の休息
オオカミ
いつだって隣り合わせ
今すぐこの場所を逃げ出したい。
モンスターの数が多すぎる。
何故こんなに多いんだ。
ダンジョンならともかく、普段はこの草原はこんなに多くのモンスターが湧き出る場所では無い。
それにモンスターの種類もゴブリンやスライムだが、それの上位互換の生物ばかりが多数。
傭兵として雇われた者達も額に汗を流し、今か今かとモンスターの波が収まることを願っている。
私もその一人だ。こんなに剣を振るっているのはいつぶりだろうか…体はもう悲鳴を上げている。
しかし、ここで私達が逃げれば街の人々の命なんぞ一瞬でむさぼり食われてしまう。
なら自分達が出来るだけ数を減らし、街で行われている避難の時間を少しでも稼ぐ事が自分達傭兵が雇われた意味だろう。
「こんなところで…負けるかァァ!!!」
私の声で他の傭兵達の士気も上がった様で、少しずつ確実にモンスターの数を減らしていた。
ふと見上げると朝日が登っていた。モンスター達も朝日を見て身震いをし動きが鈍くなっていた。そのままモンスター達は何処かへと姿を隠してしまった。
私達は数分気を引けなかった。しかしどれだけ待てどもモンスター達は戻ってこない。誰からという訳では無い。ただ皆消耗し、座り込み息を漏らし、笑みをこぼした。すぐに動けるものはなく、休息を取ってから皆帰ろうとしていた。
私も座り込むまではしなかったが、少し気が抜けた。やっと…終わったと…
ドォガァーン!!!
大きな爆発音の様な音と共に、地面から大きなオークが現れた。オークは近くに居た傭兵やその死体を食い散らかし、更にその体を大きくしていた。
全員が絶望した。勝てないと。
そしてオークは大きな出刃包丁を振り回し次々と生き残っていた傭兵を切り飛ばしていた。
私は再び剣を握りしめ、オークへと足を走らせた。
オークの背後、今なら首を…
気がついたら逆さまの視界になっていた。
ふと見ると体が宙にまっていた。
痛みも感じないまま、私は守れなかったと
意識を失った。
つかの間の休息 オオカミ @DendokuTOKAGE
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