1-3 外部者ー前編ー




トネリコから大まかな話を聞かされたフィロメールは、唖然とした表情をしてはソファに力なく座る。



「じゃあ、その“外部者”って集団によってヴェテル達は……」


「名目は“叛逆者”として扱って、その場にて“処刑”されたってわけねぇ~」


「!?、だ、誰?」


「んふふふっ」


「来るなら、ちゃんと連絡して来い」



いつの間にか居間にある窓が開いていて目の前にある庭園のあるベンチに、暗めの紫黒色の髪色で少しボサついたウルフカットで、少し小さめなサングラスを掛けて青緑色の瞳色をした少しタレ目の切れ長な目をしている。

長いベルトだらけの赤寄りの黒色と赤色の中華風な術士のような服装をキッチリと着ていて、両耳には金色の薄い板のようなモノが吊り下がったピアスを身に着けており、赤色のファーのストールを首に巻き左二の腕に巻くような形に身に着けた背の高い青年が胡座をかいて座っていた。



「んふっ、初めましてやねぇ?フィロメールちゃん」


「へ?」


「ヴェテル君の言った通り、可愛エエ娘じゃあらへんの~!あ、オレぇ?オレはぁ、“西の魔皇のパーシヴァル”って言うんよ~?宜しくねぇ、フィロメールちゃん」



パーシヴァルは嬉しそうに目を細めては笑みを浮かべていて、その場を立ち上がっては歩いてはさきては頭を下げては窓を潜って居間へと入ってくる。



「……なんで、ヴェテルさんを知ってんの?」


「んー、悪友って所やねぇ~……散々と色々と、ヴェテル君に巻き込まれながらも愉しまさせてもらってるんよぉ」


「あ、そうなんだ?」


「さて、トネリコ君の説明が途中やろぉ?それについて、詳しく教えてあけるで?特に、“外部者”についてぇ」



パーシヴァルは目を細めては笑みを浮かべて鉄扇子を取り出しては、口元を隠すかのように鉄扇子を広げている。



「まずは、“外部者”という存在やねぇー彼らは自身の事を“プレイヤー”と名乗っておるんよ」


「“プレイヤー”?」


「“外部者”は、このセカイの事を“ゲーム”とも言っていたな……」


「“仮想世界”で遊ぶ場所、そんな事を“外部者”達同士で話をしておったんよねぇ……それって、“遊ぶためセカイとして此処を選んだ”とも言えへん?」


「え?」



パーシヴァルが“遊ぶためのセカイとして此処を選んだ”という言葉に、フィロメールはショックを受けた表情をしてはヴェテル達の事が過っていた。



彼らは、ヴェテル達は。

そんな事をするために、“キッカケ”として殺された事になる。



王国は元々は王様の子供の名誉を与えたいがために、ヴェテル達の命を狙っていた。

だが、ヴェテル達の方が明らかに自分達よりも脅威となるほどの実力者達とわかっていた。



「王国は自分達ではヴェテル君達を始末出来ず悩んでいた所に、“外部者の責任者”のような集団が来たときに“クリア条件”として“叛逆者”でもあるヴェテル君達の始末を出したって事?」


「………御名答やねぇ、フィロメールちゃん」


「何それっ、……ってか“外部者”達もソレで承諾とか馬鹿じゃないの!?此方だって、“生きている”存在だってのに!ただの“遊び”のために、私達は殺されるために存在しているわけじゃないってのっ!!」



フィロメールは基本的に曲がった事が好きではないし、腐った思考のヤツらなんて特に大っ嫌いである。



「んふふっ、フィロメールちゃんならそう言うやろってヴェテル君は言うてはったわねぇ~」


「……私一人でも、このセカイを取り戻すっ……ヴェテルさん達が愛したセカイ、それを好き勝手にさせるつもりはないよっ」


「フィロメール、ボク達も協力する」


「そうやねぇ、大事な悪友の想いを踏みじられるのは黙って居られるほど大人しい性格ではあらへんよぉ?」



トネリコとパーシヴァルが不敵な笑みを浮かべては、目の前にいるフィロメールを見ればフィロメールは満面な笑みを浮かべる。



「ありがとうっ、二人共っ」



フィロメールが嬉しそうにしていると、パーシヴァルとトネリコは何かを感じて互いを見てから庭園の方から渓谷の上の方を見上げる。



「どうやら、此処も見つかった可能性があるみたいだ」


「なら、そうやねぇ〜俺の大陸に来なさいな〜?まだ、“西の大陸”については開拓されておらんちゅー話なんよ」


「準備を考えたら、其の方が良さそうだね」


「なら、別のルートから此処から出よう」



トネリコの案内でフィロメールとパーシヴァルは、屋敷の裏から真反対の渓谷へと移動する事にした。



「その前に、や」


「パーシヴァル?」


「トネリコ、“記録”はしておるんやろねぇ?」


「あぁ、してある……消すか?」


「そうやねぇ、この地を荒らされるぐらいなら………そうしようやぁ」



パーシヴァルは不敵な笑みを浮かべながらも鉄扇子を屋敷へと向ければ、“血のような赤色の焔”が屋敷を包むかのように帯状となり巻き付き一気に炎上させる。



(ヴェテルさん、リコリスさん、ザーフィ、アマリリスちゃん)



フィロメールは燃え盛る屋敷を眺めてから、パーシヴァルとトネリコと共に其処からは歩いて立ち去っていく。


確かに、存在していた人達は“外部者”達によって殺されてしまった。

そして、彼らが救ったセカイさえも“外部者”によって“遊ぶだけのためのセカイ”にされてしまっている。



(絶対に、取り返してみせるから……例え、それがアイツらと似たような事をする形になろうともっ)



真反対の渓谷へと来たフィロメールは、さっきまで居た渓谷を見つめては近くまで来ていた“外部者”の“冒険者”達を軽く睨んでいた。



「今は、まだ時期じゃない………そうでしょ?トネリコ、パーシヴァル」


「あぁ、まだ準備は終わってない」


「そうやねぇ、手数を増やす時間や何からするべきなのか見定めをせなアカンでぇ」


「行こう、“西の大陸”へ」



フィロメールが言うと同時に、誰かの悲鳴のような声がしてフィロメール達は互いを見てから聴こえた方へと急いだ。


もしも、“現地の人”ならば助けないといけないからだ。



(お願いっ、間に合ってっ……!)



フィロメール達が辿り着くと同時に、フィロメールの眼前には血飛沫が舞っていて其処にはウサギ耳がフードの隙間から見えている幼い少女が目の前の数人の“プレイヤー達”に襲われて切りつけられていた。



「よしっ!」


「やったなっ!やっと、大人しくなったな」


「っ……ぅ」



ウサギ耳がフードの隙間から見えている幼い少女は怯えた眼差しで、目の前の“プレイヤー達”を見ては持っていたダガーを向けていた。



「おいおい、そんなモノで俺等を倒せると思ってんのか?大人しく捕縛されてくれたら、これ以上は痛めつけたりしねーって」


「“NPC”に言った所で、言うことを聞くわけ無いって!ははっ!」


「ほらほら、コッチに来いって」



一人の剣士風の服装をした“プレイヤー”がウサギ耳がフードの隙間から見えている幼い少女に近寄ろうとしたが、足下付近に投げナイフが数本地面に刺さっては“プレイヤー達”は咄嗟に止まっては投げてきた方を見ればフィロメール達がいる事に気付いては驚いていた。



「お、おいっ……」


「こんなの聞いてないって…!ガキよりも、明らかにっ」



一人の剣士風の服装をした“プレイヤー”が剣を構えようとしたが、フィロメールは“いつの間にか”その“プレイヤー”の前に来ては機械式の刀で居合いで切りつけられていた。



【DANGEROUS】



「お、おい!?」


「ヤバいって、“DANGEROUS”って警告出てるって!!」


「に、逃げろっ」


「ま、待って…!か、回復を、」



フィロメールは容赦無く剣士風の服装をした“プレイヤー”の首に目掛けて機械式の刀で切りつけては、剣士風の服装をした“プレイヤー”の首は切り落とされていた。



「う、うわぁああああ!?」









つづく→

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