第3話

「さて、偽装工作完了。残りの人生を好きに生きましょうか」


 そう言って、かつて聖女と呼ばれた存在は、名を変え、姿を変えて、歴史の表舞台から姿を消した。


 勇者に託した遺言書――これは確かに、聖女としての決別を意味すると共に、自分を捨てた勇者に対しての復讐も意味する。


 だが声を出して読んだり、少し頭をひねれば、隠されたメッセージに気付くはずだ。


 すぐに気付くか、それとも死ぬまで気づかないかは神のみぞ知る。


【了】

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