10 二つの顔
過去に書いていたものの再掲。
お題:少年のサイト
必須要素:二人称
制限時間:15分
*
俺は所謂サブカルチャー的な、そんなものとは無縁の世界で生きていて、ふと友人に誘われて始めたのが若者に人気なとあるSNS。
基本的には自分が投稿者となり、写真や絵文字を交えながら日々のことを投稿する。
フォローという登録機能を使えば、気になった投稿者の投稿を閲覧したり、コメントと呼ばれる一方通行な返信機能を使って、他人とコミュニケーションをとることもできる。
そして俺が特に気に入り、面白いと思ったのが、「シェア」と呼ばれる他者の投稿を自分のホームに共有し、フォロワ-にも見せることができるというシステムだ。
その日流れてきたシェアされた投稿の中に、ある少年のサイトのURLが載っていた。
興味本位で開いてみると、『K』という少年のブログのようだった。
日々の記録、趣味の記録、その他社会情勢について思ったことなど、何か1日に1つ日記に書いているらしい。
ふと、コメントが多いことが気になって、覗いてみることにした。
「…何だこの言葉遣い?」
ブログは普通の敬語体で投稿されていたので気付かなかったが、コメント欄に書かれたKの言葉遣いはそれとは全く違う。
特に印象深かったのは、二人称を「あなた」や「君」などではなく、「貴公」と表現していることだ。
何だろう。
この人はどこかの貴族か何かか?
そんなことを思いながら、他の投稿にも目を通した。
「…ん?」
見覚えのある場所、見覚えのある町。
学校らしい場所も映っていて…もしかして、隣のクラスの静かそうな彼奴か?
なんてことまで何故か分かってしまって。
どうやら人は、ネット世界と現実世界とでは人格が変わることがあるらしい。
そんなことに気付いたけれど、そいつがここで何か表現することが出来るのならそれでもいいのかもしれない。
明日、こっそり彼奴に話しかけてみようか。
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