7 突然の非日常
過去に書いていたものの再掲。
お題:急な超能力
必須要素:漆黒の翼
制限時間:15分
*
朝起きて、背中の感触に違和感を感じた。
何となく重いような、凝っているような…それでいて、背中よりもう少し先の方に、何かしら感覚のあるものがくっ付いているような。
鏡で見て確認してみようと、洗面所へと向かった。
「は?」
言葉が出なかった。
俺の背中についていたものは、烏の羽根のような漆黒の翼。
は?翼??
何で??
考えたって理由なんて見つかるはずも無く。
俺は昨日までは地元から出てきて数ヶ月のただの大学生で、もう少しすれば期末試験があるからと、友人と試験勉強をしていた訳で。
普通の人間として普通に生きて、普通に寝て普通に朝を迎えていた筈で。
ましてこんな急に超能力のような、翼が生えてくるような、何かしらの要素を持っているなんてことは有り得ない。
ピンポーン
洗面所で放心する朝7時、1人暮らしの大学生の男の部屋に明るく鳴り響くインターホンの音。
これだけならまだいい。
俺には今、この背中に漆黒の翼が生えているという、摩訶不思議で有り得ない状況下にある。
さて…どうする。
「あれ?居ないんですかー?」
そっと近付いた玄関からは、聞き慣れない若い男の声がした。
「いや、生体反応はあるな」
「ほほう?じゃ、ちょっくら強行突破させて頂きますかねぇー」
キュイィィィンという、機械音だろうか、エネルギーを補給するような音が外で響いている。
身の危険を感じた俺は、咄嗟に玄関の扉から距離をとった。
途端、目の前でドロリと溶けて無くなる玄関の扉。
入って来たのは、俺とは少し違う尖った龍のような翼の男と、獣のような腕をした男。
「やぁ、なんだいるじゃん。初めまして?」
「強行突破するまでも無かったか?」
「ま、この様子じゃあ出てきてはくれなかったろうさ。仲良くしてね、お仲間さん?」
ニコニコと笑うその翼の男に、日常が崩れていく予感を覚えた。
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