第2話 海の女の子Side

あの嵐の夜。私はゆっくりと目を覚ました。

「カイ君、大丈夫かな。」

私は思い甲羅を背負ったのろまな体をできる限り早く動かして泳いだ。

必死に泳いでいると、砂浜にたどり着いた。パァッと体が眩しく光ったかと思うと、私は人間の女の子の姿になった。

サラサラの背中までかかる長い髪は青色がかかった白。

髪の毛と同じように真っ白なふわっとしたワンピース。

海と同じ緑のかかった青色の瞳。

こんな姿になれたのはカイくんのおかげ。バシャバシャとカイくんを探して泳ぎながら、その時のことを思い浮かべていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

モゴモゴと必死に私は泳ごうとしていた。苦しくって苦しくって、もうダメかと思って私はここで死んでしまうのかと思った。

私は海の王女になったばかりだった。海の生物たちに任されて王女に任命されたのに…。なんて情けないのだろうか。海の王女になることは海自体になること。私が死んでしまったら、海は荒い波で溢れる。他の生き物だって死んでしまう可能性が高くなる。

私が動けないのは、目の前にあるゴミの山のせいだ。緑色のネットが私を囲んでいて、身動きができなくなる。いくら泳いでもそれは変わらない。

その時、助けてくれたのが、カイくんだった。

ネットを切り、ゴミ箱に捨てた。その目には涙が溜まっていた。

「ごめんな、ごめんな。俺たちのせいなんだ。」

なんで泣くのかがわからなかった。カイくんは私の命の恩人だ。こちらがお礼を言うはずなのに。

なんで泣くの?苦しいの?なんで謝るの?

苦しいなら、私が助けてあげたい!と思った時。

私の体がまぶしく光り輝き、女の子の姿になった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私はその時のことを思い浮かべると、カイくんへの手紙を書いた。そして必死になって引っ張ったカイくんを砂浜に寝かせると、その手紙をそっとおいた。

その時にぎった手があったかくて、顔がかぁっとその手よりも熱くなった。

とくん、と私の胸を打ち鳴らす。ドキドキしてしまう。

感じたことがない、この気持ち。

一度しか会ったことがないのに、なんで?長い付き合いの家族でも友達でも、こんな気持ちは感じたことがない…。

その時、カイくんが起きそうだったから、海に潜った。

ハッとした。

私、返事がもらえるかなって期待してる…。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る