ごめんねあのこ
放り出された真っ暗な部屋の中で、
すごくおばさんを恨んだ。
ワタシはいっぱいいっぱいになった自分の心を慰めながらたくさん泣いた。
アサミは泣きながら気づいた。
いつからこの部屋は真っ暗だったんだろう。
そう思えばいつの間にかこの部屋は真っ暗だったような気がした。
涙がすっと止まる。アサミは頭をものすごい速さで回転させ、思い出した。
あの時だ。あれが原因だったんだ。
何年前のことだろう。
この部屋がまだぴかぴかと輝いていた頃、
わざと紙を上から落として拾うことに夢中になっていた。つまらないようなことだと思うかもしれないが、暇を持て余したアサミにとっては世紀の大発明くらいの遊びだった。
でもそれがおばさんに見つかるとすぐに外出禁止になり、こっぴどく叱られた。
でもアサミはどうしても上から紙を落としたくて仕方がなく、たった1回のつもりで紙を落とした。
だが、拾う人がいない。外に行こうとしてもおばさんに阻止される。どうしよう。
アサミはある考えがついた。ここを通る人に拾ってもらおうと。
それからアサミは必死になってここを通る人がいれば網戸に顔をくっつけ、拾って拾ってと必死に頼んだが、何時間たっても誰も拾おうとはしなかった。みんな青ざめた顔で走って逃げて行ってしまうのだ。
だがそんな時アサミに転機が訪れる。
ひとりの女の子に落ちた紙を拾ってもらったのだ。もうひとりの女の子の顔は青ざめた様子だったが紙を拾った女の子は決してそんな顔はしなかった。
アサミは確信した。この子なら拾ってくれると。それからはその女の子が来る度に紙を落としては拾ってを何回も繰り返した。
何度も何度も。
でも流石に怖くなったのかそこの道を走って通ることが多くなり、それから部屋が真っ暗になってしまった。
アサミは恐怖など分からない。
でも心の中が必死に叫ぶ。
ごめんね、あのこ と。
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