第2章 それでもワタシは

階段の下から聞こえる叫び声で目が覚める。

時計を見るも、部屋は真っ暗で何も見えない。


ワタシの部屋はちょっと特殊。

いつからか、真昼でも、夕方でもずぅっと真っ暗なの。それよりも下から聞こえる叫び声が気になるなあ。

階段をわざとドタバタと降りる。

「象の足音みたい!」

独り言をつぶやきながら扉を開けると、

ワタシの大好きなお兄ちゃんがいた。


「ここをいつになったら出ていくんだよ!

何年も前から言っているだろ!?」

「そんなの知らないわよ!

そんなに出ていってほしいなら自分でフドウサンヤに相談してちょうだい!」

おばさんとお兄ちゃんはいつも喧嘩する。

必ず、フドウサンヤのお話をしている。


お兄ちゃんがため息をつく。

元気がないのかな?と思い話しかけてみる。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

そう言うと、お兄ちゃんはワタシを狼のような目で見てぼそぼそつぶやく

「せいで…お…せいで…」

小さくて聞き取れない。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

もう一度、話しかけると、お兄ちゃんが

ワタシの体を床に叩きつけた。


「アサミ、お前のせいで!!」

お兄ちゃんが涙を見せる。

何がワタシのせいなのか分からない。

怒りがふつふつと込み上げてきた。

「お兄ちゃん、酷い!」と何回も何回も叫ぶ。

それを見たおばさんはワタシの腕をぎゅっと掴んで引っ張った。


「アサミ、部屋へ戻りなさい。」

嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

部屋へは絶対に戻りたくない!

必死におばさんに抵抗するが力が強く、

おばさんには痛くも痒くもないようだ。


ついに部屋へ入れられ、外から鍵がかけられる。ワタシは泣き叫び、布団でじたばた。

こんなことされたってワタシは強いんだから!こけても泣かないくらい、強いんだから!涙をこらえて鼻水をすする。

「それでも、諦めないんだから…」

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