第105話 昨晩はお楽しみでしたね
やや気だるさを感じて目覚めた昼。
ぐっしょりと濡れてひんやり感じるシーツと、絡み付く人肌の温もり。まさに完全事後である。
俺達は昨夜……大人の階段を登った。
初体験を経て、晴れて童貞を卒業することになったのだが……とにかく搾り取られた。
隠語として夜の運動会と呼ばれることもあるのは知っていたが、まさしくその通りであると実感させられた。
汗やら何やらの体液でこんなにシーツが濡れるもんなんだなと感心している。
一般的な初夜がどの程度なのかは分からないが、きっと俺達の行為はとても激しかったはずだ。
結局朝までヤリ続けた結果がこの惨状だ。
お互い初めてということで最初のうちはスローペースで探り探りだったが、慣れてきてからは陽菜が止まらなかった。お手柔らかにと頼んでいたが、やはり無理だったな……。二人して完全に性に溺れていた。
俺が所持していたゴムもすぐに無くなり、そこで終わりかと思いきや、なぜか陽菜も所持しておかげで朝までノンストップだった。
途中から何回戦目とか数えるのをやめたが、一箱五枚入りだったものを二箱空にしたのだから相当なものだろう。
正直終盤は体力切れで、完全に主導権を陽菜に握られていた。
少し寝て体力を回復させていた陽菜と、そうではなかった俺の残り体力の差が顕著だったな。
まあ、下半身の方は最後まで元気だったみたいだが……。
それにしても……今時の女子高生ってゴムを用意しておくもんなのか?
陽菜は淑女の嗜みだとドヤ顔していたが……果たしてそうなのだろうか。
まあ、備えあれば……ってやつか。俺だっていつするかも分からないけど、念の為にこっそり用意してたのが役に立ったわけだし、多分陽菜もそういうことなんだろうな。
「そんまま寝たんだっけ。汗かいたし風呂入るか……」
朝方になって疲れ果てて、気絶するように眠ったため、約束していた風呂第二陣は入れずじまいだった。
風呂を沸かしに行こうと思い、ベッドから起き上がると、掛け布団が捲れて陽菜のあられもない姿が顔をのぞかせる。
散々まじまじと見て、触ったはずなのに、やはりその綺麗な身体は目に毒なのか慣れないし緊張する。
ただでさえ以前から理性攻撃が激しかったのだが、こうして初体験を経たことで今後はもっと激化することが予想されるだろう。
でも……まだしばらく彼女の裸に慣れるのは厳しそうだ。
そんな彼女の裸体に布団を被せて、ベッドの床に落ちていた服を着て、まだ理性が保たれているうちに離脱する。
体力的には疲れているのに、こっちの方はもう元気になっており、テントを張っている。朝まであんなに搾られて、もうすっからかんだと思っていたのに……人体って不思議だな。
寝起きに興奮して手を出そうになるはいかがなものなのだろうか。まあ……あれだけ性に積極的な陽菜なら受け入れてくれそうな気もするが、女の子に無理はさせられない。
独りよがりな性行為は望ましくない。一方的に欲望の捌け口にするのはNGである。
「あ、玲くん。おはようございます……ってもうお昼過ぎてるので早くはないですか」
「おはよう、陽菜。身体の方は大丈夫か?」
昂りかけていた気持ちを落ち着かせて部屋に戻ると、陽菜が目を覚ましていた。
身体を起こしたことで布団は捲れ、上半身は完全に顕になっている。それを隠すことも、恥じらうこともせずに普通に挨拶をされ、俺はドギマギして目を泳がせながら返事をした。
あと、朝まで激しかったからどこか痛めてないかの確認をしながら、先程冷蔵庫から持ってきたペットボトルの水を渡す。お互いに色々水分を失っているからな。脱水症状には要注意だ。
「大丈夫です。優しく気遣ってくれたので、とっても気持ちよくて幸せでした」
「……そか。よかった」
いざ面と向かって言われるのは恥ずかしいが、満足度が高かったのなら何よりだ。
気持ちよくなかったとか、もうしたくないとか言われたら男からしたら絶望だからな。
「それより……昨晩はお楽しみでしたね……♡」
「自分で言う? そういうのって第三者が茶化すための台詞じゃないのか?」
「言ってみたかっただけです」
かわいいんだが?
まあ……確かにお楽しみだったな。
初めてなのに朝までとか……それはもうお楽しみだったとしか言いようがない。
「今風呂の準備をしてる。一緒に入るか?」
「無論です」
そうか、無論か。
元々そういう話だったし、その反応に特に疑問はない。
ただ……心配なのはまたしても理性君がぷっつんしてしまわないかだが……正直風呂を待たずしてしてしまいそうではある。一度タガが外れた反動でゆるゆるになっている気がするな。逆に今までどうやって耐え忍んでいたのか分からない。
これも女を知ってしまった弊害なんだろうか……。
陽菜を大事にしたい気持ちと本能がせめぎ合う。というかそろそろ前隠しなさい。
「玲くん、おはようのキス……してください」
「そうだな。俺もしたい」
キスもそうだ。
以前までの唇が触れるだけの優しいキスも好きだったが、ディープキスを解禁してからはキスは気持ちよくて幸せなものだという認識が強くなった。
舌を絡ませてピリピリするような感覚も、息苦しくなっても離れられずに求め続けてしまうのも好きだ。
あと……触れるだけのソフトなものから、激しいディープに移行するのも気持ちが昂る。
理性を溶かすキスにすっかりやみつきになってしまっているな。
そんな状態でおはようのキスを交わすことになり、当然何事もないわけがない。さも当たり前のように差し出された舌を受け入れ、絡ませ、貪る。陽菜ならそうくるとなんとなく思っていた。
おはようのキスにしては激しく長い口付けを経て、乱れた呼吸を整えながら見つめ合う。
とろんとした顔を見ていると押し倒したくなるな……。本当に抑えが効かなくなったもんだと実感させられる。
「我慢してますか? 苦しそうですよ……顔も、こっちも……っ」
陽菜の手が俺の下腹部へと伸びる。
触れるか触れないかのところで空を切るいやらしくも意地悪な手つきに思わず唾を飲み込んだ。そんな焦らすようなことをされるとその気になってしまう。
「……陽菜がかわいすぎて困る。今にでも襲ってしまいそうだ」
「私としても玲くんが好きすぎて我慢できないので……しちゃいますか? おはようのえっち♡」
「する」
ゴムの袋を咥えた陽菜が上目遣いで見つめてくる。
ただでさえギリギリ耐えてた状態で、そんなことされたらもう我慢が効かない。俺は即答して陽菜を押し倒していた。
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