第104話 続きを、最後まで
肌を重ねて、口付けを求めあい、どんどん身体も熱くなり、理性も薄れていく。
湯を揺らす音とキスの水音が混じり合っていやらしい音色を奏でている。
お互いに呼吸を求めて顔を離すも、僅か一息挟んで次を求めてしまう。
完全に蕩けきって、発情した様子の表情を見て、呼吸もままならない状態で唇を塞ぎ、塞がれる。
インターバルはどんどん短くなり、それに伴って頭も真っ白になっていく。理性が溶けていくとはまさにこの事だろう。がっついてしまってもう止まれる気がしない。
深いキスの中で、陽菜が身動ぎを繰り返す。
押し付けられた柔らかいものが俺の理性を刺激する。
「あっ……ん、ふっ……」
それだけでも破壊力は十分すぎるのだが、柔らかさの中心にある固いものがツンツンとなぞるようにずっと当たっている。擦れる度に跳ねる身体。口から漏れる嬌声。まるで俺を使ってシているみたいで、言葉を選ばずに表現するのならばとにかくエロすぎる。
陽菜は俺のことを紳士的と言ってくれるが、そんな姿を見せられて、ひたすらに情欲を煽られて、黙っていられるわけがない。
腰に巻いたタオルで隠しているアレも出っ張って激しく主張しており、陽菜の柔らかいお腹に当たってしまっている。
「あふぇ……んっ……」
そんな扇情的な姿に煽られて、この口付けもより激しいものへと昇華した。
ディープキス。ヌルッと滑り込ませた舌を陽菜の口内で這い回らせる。
一瞬ビクッと大きく身体を跳ねさせ、驚いたように硬直していたが、次第に陽菜の方からも舌を絡ませてくるようになり、いやらしい水音はどんどん大きく、激しくなる。
(……もう、いいよな?)
正直ずっと迷っていた。勇気が出なかった。
告白するのですら相当待たせてしまった自覚はある。だから、求められているのなら応えてあげるべきだと思っていた。でも、まだ付き合い始めたばかりだからという言い訳がずっと頭の片隅にあった。
元から順序がバグり散らかしていた関係だ。
節度あるお付き合いを……なんて考えるのは今更過ぎるのかもしれないけど、身体の関係を持つのにはどうしても慎重になってしまった。
まだ付き合ったばかり。
まだ高校一年生。
まだ子供。
まだそういうのは早い。
そうやって『まだ』と言い聞かせてきたのももう限界だ。
俺だって男だ。彼女をそういう目で見ることもあるし、したいと思わないわけがない。
彼女ができたらいつかはそういうことをするもんだと妄想することもしばしば。それが男子高校生の健全な姿であると開き直りたい。これが同棲しているともなればなおのことだろう。
そして、この一歩先の関係に進みたいと思っているのは俺だけじゃない。
陽菜だってずっとアピールしてくれていた。
「んっ……ふ、ぅ……んぁっ……」
舌を絡め合い、求めあう快感に身を委ねる。
息継ぎの合間に漏れ出る声が風呂場に響き余計にエロさを際立たせている。
ピリピリと電流のようなものが頭の中を走り、それ以外のことを考えられない。
陽菜が好きだ。もっと陽菜を感じていたい。
ただひたすらに、本能のままに貪る。このがっついてしまうのが一方的だったら、欲望をぶつけているみたいで申し訳なく思ったが、陽菜も負けないくらい求めてきてくれている。この想いは俺の独りよがりじゃないと伝えてくれているみたいだ。
こうして激しくキスをしながら、身体をくねらせて俺に押し付けてくる陽菜。キスの合間から声と空気が漏れ続けていて、若干苦しそうにしているが全然止まる気配はない。
このままだとお互いのぼせてダウンしてしまいそうなので、一度しっかり息を整えるためのクールタイムを設ける。
「はぁ……はぁ……っ、もっとぉ……」
「ああ、もっとしよう。俺は逃げないから安心してくれ」
切なそうな表情で続きを求める声。蕩け切った表情。力が入らないのか脱力してもたれかかる身体。すべてが愛おしい。
「陽菜、好きだ」
「私も……玲くんが大好きですぅ」
今一度、気持ちを確かめ合うようにキスをする。
ソフトに触れるだけのキスを数度挟み、また深く貪るような口付けをする。
「陽菜、ベッドに連れて行っていいか?」
「それって……?」
「ああ。最後までしたい」
ああ、ついに言ってしまった。
それを言葉にするだけでもこんなにもドキドキして、どんな返事をされるのかが気になって落ち着かない。
断られて、関係がぎくしゃくしてしまったらどうしようかとも思いはした。
それでも、不思議と不安はなかった。
陽菜もそういうことをしたい。そういう関係になりたいと思ってくれているのが嫌というほど分かっているからか。
そうじゃなきゃラブホテルで休憩したいだなんて駄々をこねることもしないだろうし、こんなにも攻めたアピールなんかもなかっただろう。
行動で想いを語ってくれているので、俺はそれを信じられる。
そして、やっぱり俺は……その気持ちに応えたい。応えてあげたい。
少しの気恥ずかしさを残して、それでも陽菜から目を逸らすことなく真っすぐ見つめる。
「やっとその気になってくれたんですか?」
「ああ、待たせて悪かったな」
「本当ですよ……。あんまりにも手を出してくれないので、私に魅力がないんじゃないかってちょっと不安になっちゃいました」
「陽菜に魅力がないなんてそんなことあるわけないだろ」
「……そう面と向かって言われると照れますが……嬉しいです」
そう呟いて、俺の胸に顔を埋めてくるのは照れ隠しなのか。
相変わらず恥じらい判定が謎なのもかわいい。
「私の全部……玲くんにあげます。なので、この身体も全部、玲くんのです」
「そんなこと言っちゃっていいのか?」
「はい。玲くんへの誕生日プレゼントは私ってことです。その代わり……返品もクーリングオフもできないので、よろしくお願いしますね」
「そんな素敵なプレゼントだったら、二度と手放すつもりはないから安心してくれ」
プレゼントされたその身体をギュッと力強く抱きしめる。
肌を重ねて、ムラっとして、また求めてしまいそうになるが、このままここでというわけにもいかないので、やはりベッドに連行しようと思う。
「あの……初めてなので優しくしてくださいね?」
「むしろそれは俺のセリフでは?」
「……それもそうかもしれませんね」
「俺も初めてだから……お手柔らかに頼む」
「はい……お構いなく」
それはどっちの意味でのお構いなくなのだろうか。
でもまあ……どうせすぐに余計なことを考えている余裕なんてなくなるだろうし、お構いなくか。
「いったん上がるか」
「はい。またあとで入り直しましょう。もちろん一緒にですよ」
「分かってるって」
そう約束して、俺達は風呂から上がり寝室へと向かった。
どうせ脱ぐのだからと服は着ずに、軽く水気を拭き取って、そのままの姿で。
クールタイムを設けて多少余裕を取り戻していたとはいえ、彼女の綺麗な身体に興奮は冷めやらない。
ベッドに乗り込むや否や、気が付くと陽菜を押し倒していた。
どうやら俺も……そして彼女も、もう限界だったらしい。
理性が崩壊していく音がした。陽菜も再びスイッチが入ったのか、とろんとした瞳で俺を見つめている。
風呂での続きを始めるのには、十分すぎるムードだった。
「いいですよ。存分に召し上がってください」
「ああ……いただきます」
「あっ……♡」
そのムードをまたキスなどでゆっくりと盛り上げていき、お互いの気持ちが最高潮で足並みを揃えたその時。
ついに俺達は――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます